DOG×POLICE 純白の絆

爆弾魔による派手な爆破シーンも迫力があったし、主人公とワンちゃんとの友情物語としても楽しめそう。予告編からはそんな印象を受けていた。市原隼人は好きではないのだが、そこはできるだけ目を瞑ることにして鑑賞開始。
結果、予想とそう違わない出来だった。警察の中でも下に見られ、「犬屋」とバカにされている警視庁警備部警備二課装備第四係。その面々が誇りを持って職務に向き合い、犯罪を防ぐべく命を張る姿は、素直に感動できる。
人間の命令に従って奮闘する警備犬たちのひたむきさにも、心打たれた。ハンドラーと犬との間には、本当に絆が見える。彼らはまさにバディだ。
アルビノとして生まれたシロが必死でトレーニングを重ねて、他の犬よりも優れた嗅覚で爆弾を追う。そして犯人を追い詰める。こういうのには滅法弱いわ。思わず応援したくなる。
・・・と、褒めるべき点はいっぱいあるので、できるものなら手放しで絶賛したい。でも、そういう気にはまったくなれないのが、つくづく残念だ。致命的なまでに足を引っ張る要素は以下の2つ。
市原嫌いを差し引いたとしても、主役の早川はイマイチすぎだ。映画の前半で生意気だったり、勝手なことをしてみんなに迷惑をかけるのはまだいい。ちゃんと反省して後半で巻き返せば、ギャップの分だけ感動できるから。
なのにこの男、反省するどころか、後半も勝手な言動が多いのだ。一番こけたのが、骨折したブランドのそばで泣く水野に声をかける場面。「この仕事を続ける資格がない」と自分を厳しく律する水野に、「それでいいのかよ」と偉そうに叱咤する。観客の大半が「お前が言うな」と思ったはずだ。誰のせいでこうなったんだよ。「オレに言われたくないと思うけど」と自己突っ込みしてたけど、だったら初めから言うな。
シロに臭覚訓練させてほしいと係長に頼み込む場面もまたしかり。「そんなことしてもムダだ」と言う竹清に対し、「悔しくないんですか!」と吠えるのだ。悔しさの原因を作ったのは、他の誰でもないアンタでしょ? 少しはおとなしくしてろよ。KYにも程がある。それにほだされて、係長に頭を下げる同僚もどうかしてる。
単独で犯人を追いかけて失敗したのに、クライマックスでも同じことやって、学習能力は犬以下であることも露呈。あの場面は応援を呼ぶべきだろうよ。そうすれば、犯人を殺さずに制圧できたかもしれないし。鉄骨に押しつぶされても、すぐに仲間に助けられたことでしょう。結果オーライみたいな感じだったが、あれも本当は始末書もんだろう。
もうひとつの問題は、そのクライマックスのテンポの悪さだ。先日観た「海猿3」も同じ理由で叩いたが、本作も同じ。早川が鉄骨の下敷きになってからの長いこと長いこと。いつまでも早川のそばを離れないシロに、感動するどころかイライラしてしまった。もうすぐ爆弾が爆発するという緊迫感も吹っ飛ぶスローペースぶり。
しかもあと6分というところでやっとシロが走り出し、地下鉄の線路を戻り、ホームを駆け抜け、改札をくぐり、階段を上がり、やっと水野の元にたどり着く。くわえていたボールを見て、早川に何かあったと水野が気づく。そしてシロのあとを追って走る。着いた先には重傷の早川。爆弾の残りタイムは・・・あと1分!
・・・いくらなんでもこれはやりすぎだ。ハラハラさせたいのはわかるが、時間の流れがおかしすぎる。「七瀬ふたたび」のサトエリのような能力を誰かが持っていれば別だが。その後の時間の感覚もおかしい。あと10秒を切ったところで、やっと早川が立ち上がったというのに、あと5秒というところで2人はもう外に出ている。え?今度はテレポーテーション?「ジャンパー」ですか? まさかSFじゃないよね、この映画。
もしかしてと思って調べてみたら案の定、本作の監督はテレビで名を売った人だった。テンポの悪さはテレビドラマではよくあることだけど、映画では許されない。その辺が理解できないのなら、ずっとテレビで勝負してればいい。最近、こういう映画が多すぎるわ。
本作がヒットすれば、たぶん続編もできそうな感じだ。内容は面白いのだから、次回はもっと映画としての完成度を高めてほしい。そうすれば、本当に素直に感動できる作品になるはずだから。できれば、監督と脚本家と主演俳優の変更を希望します。うーん、さすがにそれは無理か。
<おまけ>
爆破される会社が「松芝」だったり「NKソフト」だったり、まるで新聞と言えば「毎朝新聞」みたいな安直なパクリが随所に見られる本作。極めつけは、クライマックスの会場で講演会をするカリスマ経営者、スティーブン・ジャブズ氏だ。
白髪で細身なところが本家にそっくりだが、ストーリー上の必然性はまったくなし。加えて、本家は先日亡くなられ、映画よりも彼自身に想いを馳せる場面になってしまった。ああいうテレビレベルのお遊び、でかいスクリーンでは止めた方がいいですよ。こういうことが起こるから。
そのとおりと思ったら、ポチッ!
結果、予想とそう違わない出来だった。警察の中でも下に見られ、「犬屋」とバカにされている警視庁警備部警備二課装備第四係。その面々が誇りを持って職務に向き合い、犯罪を防ぐべく命を張る姿は、素直に感動できる。
人間の命令に従って奮闘する警備犬たちのひたむきさにも、心打たれた。ハンドラーと犬との間には、本当に絆が見える。彼らはまさにバディだ。
アルビノとして生まれたシロが必死でトレーニングを重ねて、他の犬よりも優れた嗅覚で爆弾を追う。そして犯人を追い詰める。こういうのには滅法弱いわ。思わず応援したくなる。
・・・と、褒めるべき点はいっぱいあるので、できるものなら手放しで絶賛したい。でも、そういう気にはまったくなれないのが、つくづく残念だ。致命的なまでに足を引っ張る要素は以下の2つ。
市原嫌いを差し引いたとしても、主役の早川はイマイチすぎだ。映画の前半で生意気だったり、勝手なことをしてみんなに迷惑をかけるのはまだいい。ちゃんと反省して後半で巻き返せば、ギャップの分だけ感動できるから。
なのにこの男、反省するどころか、後半も勝手な言動が多いのだ。一番こけたのが、骨折したブランドのそばで泣く水野に声をかける場面。「この仕事を続ける資格がない」と自分を厳しく律する水野に、「それでいいのかよ」と偉そうに叱咤する。観客の大半が「お前が言うな」と思ったはずだ。誰のせいでこうなったんだよ。「オレに言われたくないと思うけど」と自己突っ込みしてたけど、だったら初めから言うな。
シロに臭覚訓練させてほしいと係長に頼み込む場面もまたしかり。「そんなことしてもムダだ」と言う竹清に対し、「悔しくないんですか!」と吠えるのだ。悔しさの原因を作ったのは、他の誰でもないアンタでしょ? 少しはおとなしくしてろよ。KYにも程がある。それにほだされて、係長に頭を下げる同僚もどうかしてる。
単独で犯人を追いかけて失敗したのに、クライマックスでも同じことやって、学習能力は犬以下であることも露呈。あの場面は応援を呼ぶべきだろうよ。そうすれば、犯人を殺さずに制圧できたかもしれないし。鉄骨に押しつぶされても、すぐに仲間に助けられたことでしょう。結果オーライみたいな感じだったが、あれも本当は始末書もんだろう。
もうひとつの問題は、そのクライマックスのテンポの悪さだ。先日観た「海猿3」も同じ理由で叩いたが、本作も同じ。早川が鉄骨の下敷きになってからの長いこと長いこと。いつまでも早川のそばを離れないシロに、感動するどころかイライラしてしまった。もうすぐ爆弾が爆発するという緊迫感も吹っ飛ぶスローペースぶり。
しかもあと6分というところでやっとシロが走り出し、地下鉄の線路を戻り、ホームを駆け抜け、改札をくぐり、階段を上がり、やっと水野の元にたどり着く。くわえていたボールを見て、早川に何かあったと水野が気づく。そしてシロのあとを追って走る。着いた先には重傷の早川。爆弾の残りタイムは・・・あと1分!
・・・いくらなんでもこれはやりすぎだ。ハラハラさせたいのはわかるが、時間の流れがおかしすぎる。「七瀬ふたたび」のサトエリのような能力を誰かが持っていれば別だが。その後の時間の感覚もおかしい。あと10秒を切ったところで、やっと早川が立ち上がったというのに、あと5秒というところで2人はもう外に出ている。え?今度はテレポーテーション?「ジャンパー」ですか? まさかSFじゃないよね、この映画。
もしかしてと思って調べてみたら案の定、本作の監督はテレビで名を売った人だった。テンポの悪さはテレビドラマではよくあることだけど、映画では許されない。その辺が理解できないのなら、ずっとテレビで勝負してればいい。最近、こういう映画が多すぎるわ。
本作がヒットすれば、たぶん続編もできそうな感じだ。内容は面白いのだから、次回はもっと映画としての完成度を高めてほしい。そうすれば、本当に素直に感動できる作品になるはずだから。できれば、監督と脚本家と主演俳優の変更を希望します。うーん、さすがにそれは無理か。
<おまけ>
爆破される会社が「松芝」だったり「NKソフト」だったり、まるで新聞と言えば「毎朝新聞」みたいな安直なパクリが随所に見られる本作。極めつけは、クライマックスの会場で講演会をするカリスマ経営者、スティーブン・ジャブズ氏だ。
白髪で細身なところが本家にそっくりだが、ストーリー上の必然性はまったくなし。加えて、本家は先日亡くなられ、映画よりも彼自身に想いを馳せる場面になってしまった。ああいうテレビレベルのお遊び、でかいスクリーンでは止めた方がいいですよ。こういうことが起こるから。
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[736] ぽち
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僕もブログでちょこちょこ感想書いているので良かったら。