世界侵略:ロサンゼルス決戦

予告編を観る限り、相当な製作費をかけたVFX大作に見える。しかし本国での興行収入は1億ドルに届かず、あまりいい評価も聞こえてこない。もしかしたら、見た目だけで中身のスカスカのドンパチ映画なのか。大好きなジャンルだけど、あまり期待しない方がいいのかもしれない。駄目で元々と思って席に着いた。
中盤のシーンを冒頭に持ってきて、すぐに侵略直前の時点に戻る展開も「スカイライン」と同じで、悪い予感が的中しそうな気配。主要な兵士たちの紹介が続くが、有名なのはナンツ曹長役のアーロン・エッカートぐらいで、他は誰が誰だかよくわからない。一部の人々に注目して話が進むことが予想され、これまた「スカイライン」と一緒か。あれの小隊バージョン? 不安は募るばかり。
しかし、さほど観客を待たせることなく、謎の物体は主要国の沿岸に落下し始める。軍には出動要請。この早い展開は意外に悪くないぞ。
そして空母が撃沈され、海辺が攻撃されるニュース映像で、地球外の何者かによる侵略行為が始まったことが明らかになる。おっ、この緊迫感はなかなかいいんじゃないか?
ロサンゼルスの防衛前線に送られた小隊は、市内に取り残された市民の救出に向かう。完全に廃墟と化したサンタモニカの街を、警戒しながら進む一行。そして緊迫感がピークに達した時、敵の猛烈な襲撃を受ける。まるでその場にいるかのようなリアルな銃撃戦は、まさに「プライベート・ライアン」。あれを現代のロスで、しかも侵略SFという畑違いのジャンルでやるとはね。ちょっと驚き。
小隊から離れてしまったひとりの兵士が、敵と至近距離で対峙してしまう。ああ、こりゃやられたな・・・と思ったら、なんと必死の抵抗で倒してしまうのだ。絶対勝てない相手と思いきや、相手も生き物、かなり頑張れば五分の勝負も可能。つまりは本作は、相手を強大なエイリアンにしただけの戦争映画なのだ。しかも人間同士の争いじゃないので、何も考えたり悩んだりすることなく、人間側だけを応援することができる。やばい、面白いかもこの映画。
その後小隊は、一般市民が隠れる警察署にたどりつく。そこに飛び込んできたのが、女兵士と言えばこの人、ミシェル・ロドリゲス!「バイオハザード」「S.W.A.T.」「アバター」と迷彩ばっかり着てるのに、また着たの?(笑) こういう絶体絶命の状況では、彼女が女神に見えます。後光も差してます。
一斉爆撃作戦の時間が近づき、安全ラインへの撤退を図る一行。でも周りは陸も空もエイリアンだらけで、逃げる隙間がない。そこで隊長はバスでの移動を決断する。この隊長が戦闘経験ゼロのエリートで、最初は威勢がよかったが、窮地に追い込まれるとオロオロするなんちゃってリーダー。よくある設定なんだけど、ベテランのナンツに励まされて、「うん、ボクがんばる!」と上を向いて歩き出す。
このバス移動が予想どおり大変。無線通信を相手も傍受していると察したナンツは、無線機をバスから離れた場所まで持っていき、それに釣られた無人円盤を爆破するというヒーローぶりを発揮する。このナンツ、以前部下を死なせて自分だけ助かったことがあり、仲間の兵士から蔑みの目で見られていた。しかし、この一件で信頼度は急上昇。バスの中は大盛り上がりだ。
しかし喜びもつかの間、高速道路が寸断されていてバスは立ち往生する。そこに襲い掛かるエイリアンたち。かなり激しい砲撃にさらされながら、市民を守ろうと兵士たちは必死に戦う。そこで犠牲になったのが、あのエリート隊長だ。情けないあんちゃんだったけど、最後にいいとこ見せましたな。
なんとか窮地を脱した一行だが、予定の時間になっても爆撃は起こらない。なんで?と思って作戦基地に戻ってみると、そこはすでに焼け野原。呆然とする中で、以前ナンツの部下で死んでしまった兄を持つ兵士が、ナンツに恨み節をぶつける。ここでナンツの感動スピーチが披露され、兵士(弟)ともお約束の和解を果たす。みんなの士気も上がって、いざ救出ポイントへ。
待ち伏せるエイリアンたちを装甲車で次々と跳ねとばし、救出ポイントでヘリに乗る一行。しかしこのまま帰投したんじゃ何も問題は解決しない。街のど真ん中の暗闇が怪しいとにらんだナンツは、ひとりヘリから飛び降りる。ここでまたまたお約束、部下全員が彼に続いてヘリから降り立つのだ。お手本通りの展開だけど、単純に乗せられました。感動しちゃった。
敵のアジトに潜入した小隊は、無人円盤を遠隔制御している心臓部を発見する。ここをミサイル攻撃するように遠方のベースに連絡。小隊のミッションは、ピンポイントで爆撃できるよう、標的にレーザーを当て続けることだ。
壮絶な敵の攻撃にさらされ、さらなる犠牲者を出しながらも、ミッションを遂行しようとする兵士たち。最後のミサイルが巨大な司令塔を直撃し、ロスの空からすべてのエイリアンシップが墜落する。ミッションは成功したのだ。歓声をあげる兵士たちと共に、オレも思わず「よしっ!」と拳を握ったよ。
敵を倒した英雄としてベースに戻ったナンツとその部下たち。これだけ頑張ったんだから少しは休むかと思いきや、銃の弾込めを始めるナンツ。それを見た部下たちは・・・やっぱり弾込めるよねー。装備を確認し、すぐに戦場へ飛び出す連中を、ついつい笑顔で見送ってしまいました。
あんな得体の知れない相手を一小隊が倒してしまうというご都合主義な展開。ステレオタイプなキャラが多く、感動させようとする場面には新味がない。何よりも内容がこれ以上ないほど好戦的。叩こうとすればいくらでも叩けると思います、この映画。
でも冷静に見れば、彼らがやったことって一連の軍事作戦なんだよね。相手がエイリアンというだけで、それ以外は優秀な兵士たちが勇気を持って戦う姿を描いた116分だ。もっと長くしてもっと大作っぽくしてもいいところだが、あえて2時間以内に収めたところも好感が持てる。大スターを使わなかった点も、中身で堂々と勝負してるということだろう。VFXには「スカイライン」のハイドラックスが携わってるようで、全編弱いところは感じなかった。SFファンとしても満足の見栄えだ。士気を鼓舞するようなスコアも心躍らされた。
ついつい長々と書いてしまったが、これは映画に大満足したことの表れ。全然期待してなかったのに、ここまで面白かったのだから、映画って本当に観てみないとわからないものだ。劇場を出てつくづくそう思った。
<9/24追記>
レビューをアップしたあと、他のブログを見てまわると、意外に好意的な感想がほとんどで、そのうちの半分はほぼ絶賛状態。こんな単純な戦闘本能刺激映画に興奮するのはオレぐらいかと思ったら、同じ意見の人が多くてホッとした。
でもアメリカ本国ではそうでもないのよね。IMDBの平均点数は5.7だし(本日現在)、本国公開時は5週目でボックスオフィスのトップ10から落ちている。典型的なアメリカ万歳映画だから、アメリカ人にバカ受けなのかと思いきやそうではなく、海の向こうの日本人には好評という事実。
命をかけて戦うとか、他人のために犠牲になるとか、こういうのってかなり日本人好みなのかも。
そのとおりと思ったら、ポチッ!
中盤のシーンを冒頭に持ってきて、すぐに侵略直前の時点に戻る展開も「スカイライン」と同じで、悪い予感が的中しそうな気配。主要な兵士たちの紹介が続くが、有名なのはナンツ曹長役のアーロン・エッカートぐらいで、他は誰が誰だかよくわからない。一部の人々に注目して話が進むことが予想され、これまた「スカイライン」と一緒か。あれの小隊バージョン? 不安は募るばかり。
しかし、さほど観客を待たせることなく、謎の物体は主要国の沿岸に落下し始める。軍には出動要請。この早い展開は意外に悪くないぞ。
そして空母が撃沈され、海辺が攻撃されるニュース映像で、地球外の何者かによる侵略行為が始まったことが明らかになる。おっ、この緊迫感はなかなかいいんじゃないか?
ロサンゼルスの防衛前線に送られた小隊は、市内に取り残された市民の救出に向かう。完全に廃墟と化したサンタモニカの街を、警戒しながら進む一行。そして緊迫感がピークに達した時、敵の猛烈な襲撃を受ける。まるでその場にいるかのようなリアルな銃撃戦は、まさに「プライベート・ライアン」。あれを現代のロスで、しかも侵略SFという畑違いのジャンルでやるとはね。ちょっと驚き。
小隊から離れてしまったひとりの兵士が、敵と至近距離で対峙してしまう。ああ、こりゃやられたな・・・と思ったら、なんと必死の抵抗で倒してしまうのだ。絶対勝てない相手と思いきや、相手も生き物、かなり頑張れば五分の勝負も可能。つまりは本作は、相手を強大なエイリアンにしただけの戦争映画なのだ。しかも人間同士の争いじゃないので、何も考えたり悩んだりすることなく、人間側だけを応援することができる。やばい、面白いかもこの映画。
その後小隊は、一般市民が隠れる警察署にたどりつく。そこに飛び込んできたのが、女兵士と言えばこの人、ミシェル・ロドリゲス!「バイオハザード」「S.W.A.T.」「アバター」と迷彩ばっかり着てるのに、また着たの?(笑) こういう絶体絶命の状況では、彼女が女神に見えます。後光も差してます。
一斉爆撃作戦の時間が近づき、安全ラインへの撤退を図る一行。でも周りは陸も空もエイリアンだらけで、逃げる隙間がない。そこで隊長はバスでの移動を決断する。この隊長が戦闘経験ゼロのエリートで、最初は威勢がよかったが、窮地に追い込まれるとオロオロするなんちゃってリーダー。よくある設定なんだけど、ベテランのナンツに励まされて、「うん、ボクがんばる!」と上を向いて歩き出す。
このバス移動が予想どおり大変。無線通信を相手も傍受していると察したナンツは、無線機をバスから離れた場所まで持っていき、それに釣られた無人円盤を爆破するというヒーローぶりを発揮する。このナンツ、以前部下を死なせて自分だけ助かったことがあり、仲間の兵士から蔑みの目で見られていた。しかし、この一件で信頼度は急上昇。バスの中は大盛り上がりだ。
しかし喜びもつかの間、高速道路が寸断されていてバスは立ち往生する。そこに襲い掛かるエイリアンたち。かなり激しい砲撃にさらされながら、市民を守ろうと兵士たちは必死に戦う。そこで犠牲になったのが、あのエリート隊長だ。情けないあんちゃんだったけど、最後にいいとこ見せましたな。
なんとか窮地を脱した一行だが、予定の時間になっても爆撃は起こらない。なんで?と思って作戦基地に戻ってみると、そこはすでに焼け野原。呆然とする中で、以前ナンツの部下で死んでしまった兄を持つ兵士が、ナンツに恨み節をぶつける。ここでナンツの感動スピーチが披露され、兵士(弟)ともお約束の和解を果たす。みんなの士気も上がって、いざ救出ポイントへ。
待ち伏せるエイリアンたちを装甲車で次々と跳ねとばし、救出ポイントでヘリに乗る一行。しかしこのまま帰投したんじゃ何も問題は解決しない。街のど真ん中の暗闇が怪しいとにらんだナンツは、ひとりヘリから飛び降りる。ここでまたまたお約束、部下全員が彼に続いてヘリから降り立つのだ。お手本通りの展開だけど、単純に乗せられました。感動しちゃった。
敵のアジトに潜入した小隊は、無人円盤を遠隔制御している心臓部を発見する。ここをミサイル攻撃するように遠方のベースに連絡。小隊のミッションは、ピンポイントで爆撃できるよう、標的にレーザーを当て続けることだ。
壮絶な敵の攻撃にさらされ、さらなる犠牲者を出しながらも、ミッションを遂行しようとする兵士たち。最後のミサイルが巨大な司令塔を直撃し、ロスの空からすべてのエイリアンシップが墜落する。ミッションは成功したのだ。歓声をあげる兵士たちと共に、オレも思わず「よしっ!」と拳を握ったよ。
敵を倒した英雄としてベースに戻ったナンツとその部下たち。これだけ頑張ったんだから少しは休むかと思いきや、銃の弾込めを始めるナンツ。それを見た部下たちは・・・やっぱり弾込めるよねー。装備を確認し、すぐに戦場へ飛び出す連中を、ついつい笑顔で見送ってしまいました。
あんな得体の知れない相手を一小隊が倒してしまうというご都合主義な展開。ステレオタイプなキャラが多く、感動させようとする場面には新味がない。何よりも内容がこれ以上ないほど好戦的。叩こうとすればいくらでも叩けると思います、この映画。
でも冷静に見れば、彼らがやったことって一連の軍事作戦なんだよね。相手がエイリアンというだけで、それ以外は優秀な兵士たちが勇気を持って戦う姿を描いた116分だ。もっと長くしてもっと大作っぽくしてもいいところだが、あえて2時間以内に収めたところも好感が持てる。大スターを使わなかった点も、中身で堂々と勝負してるということだろう。VFXには「スカイライン」のハイドラックスが携わってるようで、全編弱いところは感じなかった。SFファンとしても満足の見栄えだ。士気を鼓舞するようなスコアも心躍らされた。
ついつい長々と書いてしまったが、これは映画に大満足したことの表れ。全然期待してなかったのに、ここまで面白かったのだから、映画って本当に観てみないとわからないものだ。劇場を出てつくづくそう思った。
<9/24追記>
レビューをアップしたあと、他のブログを見てまわると、意外に好意的な感想がほとんどで、そのうちの半分はほぼ絶賛状態。こんな単純な戦闘本能刺激映画に興奮するのはオレぐらいかと思ったら、同じ意見の人が多くてホッとした。
でもアメリカ本国ではそうでもないのよね。IMDBの平均点数は5.7だし(本日現在)、本国公開時は5週目でボックスオフィスのトップ10から落ちている。典型的なアメリカ万歳映画だから、アメリカ人にバカ受けなのかと思いきやそうではなく、海の向こうの日本人には好評という事実。
命をかけて戦うとか、他人のために犠牲になるとか、こういうのってかなり日本人好みなのかも。
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■映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』
「マリーンズ最強!」
「オレたちは例え死んでも民間人を守るぜ!!」
「撤退NO!!!!」
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