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ゼロの焦点

松本清張の名作を3人の旬な女優を配して映画化。DVD借りてきた。
予告では「アカデミー賞に輝く3女優が共演」と謳ってる。確かに中谷美紀と木村多江は、日本アカデミー賞で最優秀を獲ってるわ。でも、広末涼子ってなんかあったっけ?と思ったら、なんと「おくりびと」のアカデミー賞外国語映画賞のことだった。そりゃどっちもアカデミー賞だけど、これまた雑にくくったねー。

また、あるTVスポットでは「松本清張の名作 ついに映画化」と流れた。まるで1961年版がないかのような言い方だ。今回のは完全にリメイクでしょうに。言葉はもっと選んだ方がいい。

50年前の名作があるのだし、テレビドラマ化なら数え切れないほどされている。なんで今さらという気がしないでもなかったが、公開された2009年は清張生誕100周年だったのね。記念に名前の売れてるアレを作り直せば客は入るだろう、という製作側の魂胆が透けて見える。

まあ、作ればオリジナルと比較されるのは目に見えてる。さすがにハンパな作品は作れないと考えるだろう。キャストもスタッフも相当力が入ってるはず。期待半分、不安半分で鑑賞した。

せっかくリメイクするんだから、時代を現代にしてもいいのでは?と思ったが、携帯やネットが進んだ社会で1年半も別人生活するのは絶対無理だよね。米兵相手のパンパンなんてのもいないし。このミステリーは、やはり昭和のあの頃じゃなきゃ成立しない。そうなると、大変なのは時代作りだ。

オリジナルはリアルタイムだったのでロケするだけでよかったけど、21世紀にもなるとそうも行かない。セットとプロップとCGをうまく使って、さりげなく、しかし完全に昭和30年代を再現してたね。美術と特撮のスタッフの方々の努力に心から敬意を表したい。

肝心のストーリーは、オリジナルと比べてもそれほど遜色はない。どっちが原作に忠実なのか、読んでないのでわからないのだが、これはこれでよく出来てると思われる。

最も異なるのは、やはり謎解きの場所だろう。オリジナルはサスペンスの王道、断崖絶壁でのクライマックスだった。本作はあっさりやめちゃったね。これはある意味英断かも。今やっても「火曜サスペンス劇場」にしかならないもんね。

ではどうしたかと言うと、なんと禎子の脳内にて行われるのだ。佐知子が久子を殺そうとしながら種明かしする場面も並走するのだが、それは観客にわかりやすくするため。禎子は金沢へ向かう汽車の中で全部を見通してしまうのだ。その推理力には恐れいる。今後は未亡人探偵でもやるといい。きっと繁盛するよ。

甲乙つけがたいのが、久子が死ぬシーンだ。オリジナルのすごさは以前このブログでも絶賛したが、あれはまさしくホラーだった。一方本作は、佐知子が手を下さずに、久子が自ら身を投げるのだ。こちらの方が哀切きわまるし、その後の佐知子の狂乱ぶりも理解できる。これはこれで悪くない。

本作には、女性の社会進出という視点が加わっているのが新味だ。女性ゆえの辛い過去を持つ佐知子は、いつか女性がそんな仕事をしなくてもいい時代が来ることを信じている。そこで、女性初の市長誕生に惜しみなく力を貸すのだ。そんな彼女の夢の一歩が叶ったところで、彼女に夫を殺された禎子が叫ぶ。「マリー!」と。

結婚を機に家庭に入り、夫の帰りを待つ貞淑な妻の生活を当たり前と思っていた。それを壊された禎子が、女性運動のリーダー佐知子の人生を破滅させる。なんという皮肉だろうか。罪を犯したのは確かに佐知子だが、断罪するのは惜しい、と思ったのはオレだけじゃないはずだ。

女優陣の競演に触れておくと、広末涼子はどちらかというと受身の役柄なので、終盤までこれといった見せ場はない。抑えた演技も難しいので、よく頑張ったとは思う。久子を演じた木村多江は、無学なお人好し薄幸女を自然に演じていた。出番は意外に少ないものの、インパクトは結構あった。

そして何といっても中谷美紀だ。オーラさえ感じさせる堂々とした演技は、大女優の名にふさわしい。後半、精神が参ってきて、徐々に弱くなっていくのも見事。ステージでの演説は、記者でなくても「日本一!」と声をかけたくなるくらいだった。彼女はもっと評価されていいよね。

それほど期待していなかったせいもあるが、今回のリメイクは総じてよく出来ていた。犬童監督をはじめ、すべてのスタッフ・キャストの方々に言いたい。「ご苦労様でした」と。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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