スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)

沈まぬ太陽」と同様、190分の上映時間に躊躇して劇場には行かずじまいだった。レンタルDVDで鑑賞。
あさま山荘立てこもり事件が起きた時は、まだ物心もついていなかった。だから、報道としては最高のテレビ視聴率を記録したという当時の熱気も覚えていない。知っているのは、鉄球が山荘の壁をぶちこわすニュース映像ぐらいもので、まだ第二次世界大戦の方が近い気がするほどだ。

だから、過去の事件を詳細まで教えてくれる映画は、非常にありがたい。本作は、自分が生まれた頃の日本を知ることができただけで、とても有意義な3時間超だった。

学生運動とか全共闘とか、言葉では聞いたことはあるけれど、学生が大学と闘うなんて実感が湧かない話だ。でも、実際にあったんだね。それも、自分より20年しか違わない世代で。ここ何年かで定年を迎えた方々でしょ。一緒に会社で働いてたのに、そんな話全然聞かなかった。でも彼らはあれを体験してるんだよね。中には実際に立てこもったり、火炎瓶投げつけたりした人もいたはず。全然想像できないけど。

その中で、過激さを増していったのが赤軍派や革命左派の連中で、彼らの中の軍事組織が手を結んだのが連合赤軍。初めて名前の意味がわかったぐらいだから、この辺の話にいかに疎いかを思い知らされる。

彼らの革命思想にはまったくついていけない。あんな少人数で銃を持って一体何ができるんだろう? でも彼らは本気で国家の行く末を案じ、自分たちが新しい未来を築けると信じていたんだろう。思い余ってああなったとすれば、「ひどいやつらだ」とは一概に言えないのかもしれない。

映画の中盤、山岳ベースでの軍事訓練が始まり、内部の規律を守るために「自己批判」と「総括」という言葉が頻繁に出てくるようになる。これがだんだん暴走を始め、リンチ、そして殺人へと発展していく。

自分の過去を振り返り、問題のあった行動や思想を洗い出し、政治的な反省を深く行う「総括」。やたらとこれを迫る赤軍派の森の態度は、観ていて反吐が出そうだった。絶対的権力を振りかざして、徹底的に人を追い詰めて、ありゃただのサディストでしょ。大体森は、過去に一度敵前逃亡して、運動から遠ざかってるじゃないの。あれはちゃんと総括したんかい。自分のことは棚に上げて、よく他人のことはあそこまで言えるよな。全編を通してクズ野郎にしか見えなかった。獄中で自殺したとのことだが、同情の余地ゼロだ。

森と一緒にドSぶりを発揮する革命左派の永田。こいつもまた、見ていて腹立つクソ女だった。他人のアラを見つけてはネチネチと批判を繰り返す。森ひとりでもこの事件は起こったかもしれないが、永田が大量のガソリンを投入したことは間違いない。

メンバーが任務のついでに銭湯に寄っただけで「総括」するくせに、この二人は下山した際に男女の関係になってたりする。開いた口がふさがらず、ずっとポカンとして画面を見てました。いやはや、ここまで腐ってるとは。

口で言うだけでは満足できずに始まった暴力。最初は顔を殴っていたが、「気絶しないと総括にならない」という意味不明な論理で、パンチはボディ中心に。そりゃ内臓破裂で死ぬわな。それでも飽き足らず、ついには死刑宣告まで飛び出して、ナイフで次々と刺していく。ターゲットにされたら、もう逃れられない。そんな組織のやり方に明らかに疑問を持ち始めるメンバーたち。当然逃げる者も現れる。ただでさえ人数少ないのに、この「総括」が自ら人を減らしていく。こんなんで革命なんかできるわけないでしょ。

と、こいつらを批判するのは簡単にできるが、これって度合いは違えど、どんな組織にも起こりうることなのかもしれない。オレも営業の会社に勤めているが、数字責任のある職務だと、やれと言われた数字や昨年実績ができなかったら反省させられるもんな。さすがにパンチやナイフは飛んでこないけど、叱責されるだけでも精神的にはよくない。そんなのが何ヶ月か続いたら、やっぱり鬱になる人も出てくるって。

今は「パワハラ」なんて言葉ができて、昔ほど激しくはなくなったけど、それこそ以前はひどかった。仕事のことだけならともかく、人格攻撃するわ、「辞めろ」「死ね」なんて平気で言うのもいたんだから。これって現代の「総括」だよね。自分は他人に対してそうならないようにしないとな。

あさま山荘事件の部分は、5人の連合赤軍メンバーの視点から描いているのが斬新だった。もっと頭のおかしな連中が、勢いにまかせて女主人を人質に立てこもったものと思っていたが、この映画では違った。大事なクッキーを食べたメンバーに総括を求める場面もあったものの、あの5人はかなり純粋な革命思想家だったみたいだ。

「勇気がなかっただけじゃないか」という加藤少年の最後の叫び、あれはかなり胸に迫るものがあった。あれは監督の創作らしいが、山岳ベースからのもやもやしていたものを洗い流すようなセリフだった。

組織は時に間違った方向へ暴走することがある。それを個人で止めることは難しい。止めようとすればはね飛ばされ、ひき殺されるだろう。でも、黙認すればいつか組織もろとも谷底へ墜落する。止めるには勇気が必要だ。その勇気がみんなにあれば、あの事件だって起こらなかったかもしれない。

その勇気が自分にもほしいと思った。

<9/20追記>
若松監督って、原田眞人監督の「突入せよ! あさま山荘事件」が相当嫌いみたいね。あの事件を権力の側からしか描かなかったことが許せないらしい。至極同感です。オレもあの映画観て不快になったもの。ああいう真剣な実話に、ちょこちょこ笑いを入れる感性は理解できなかった。あれはやっぱりクズ映画だったのね。

そのとおりと思ったら、ポチッ!

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://creview.blog67.fc2.com/tb.php/972-c5c36155

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

2008年 191分 監督:若松孝二 出演:坂井真紀  ARATA 並木愛枝 地曵豪 伴杏里 大西信満 中泉英雄  伊達建士  日下部千太郎 椋田涼 粕谷佳五 川淳平 桃生亜希子 タモト清嵐 佐野史郎  日本中の視線をTVに釘付けにした、連合赤軍によるあさま山荘事?...

«  | HOME |  »

タイトル一覧/記事検索


最新記事


記事ランキング

アクセス解析


検索ワードランキング


レンタルCGI


最新トラックバック


最新コメント


カテゴリ


プロフィール

Tao

Author:Tao
性別:♂
子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


RSSフィード


リンク



【BDもDVDもBOXで!】


【あの映画をお手元に!】





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。