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ファニーゲーム

その後アメリカでリメイクも作られた、ミヒャエル・ハネケ監督の1997年作品。今頃になって恐縮だが、DVD借りてきた。
それなりの覚悟を持って観始めたつもりだったが、途中何度かしんどくなって、観終わってみると疲労困憊。この監督の悪趣味にはちゃんとした目的があると思うんだけど、それでもついていくのは骨が折れる。

しかし何なのかね、こいつら。これ以上ないくらいの残虐非道ぶり。しかも罪の意識はまったくなく、まさにゲーム感覚だ。

ただ、暴力そのものは映さないんだよね。悪魔の所業は、音や表情だけで伝わってくる。パウルがキッチンでサンドイッチを作ってる間に聞こえてくる銃声と断末魔の叫び。居間に戻るとテレビが血しぶきで真っ赤になっていて、誰かが撃たれたことがわかる。そしてやっと居間全体が映し出される。倒れていたのは…。

この二人、平気で人を殺す人でなしだが、粗暴な言動は実は皆無だ。人間が追いつめられていくのを見て楽しんでいる。相手をイライラさせて先に手を出させるやり方は、映画とわかっていてもストレスがたまる。思い出すだけでも腹立ってくるわ。

それでもこれは映画だ。悪いヤツがのさばったまま終わるんじゃ面白くない。もしかしたらラストは何か起こるのかもしれない。でなければスナッフムービーと変わらないじゃないか。

この予想は果たして当たったようだ。しかし、考えていたのとは全然違う意味で。ハネケ監督なのだから、当然といえば当然だが。

プレイ再開後、犯人の隙をついた奥さんが、ライフルでデブのペーターのどてっぱらに風穴を開ける。「よし!よくやった」と一矢報いた奥さんにエールを送ったのもつかの間、なんとパウルはリモコンを拾って、映画を逆回転させるのだ。奥さんの勇敢な行動もなかったことに。えーっ!?

確かにそれまでもパウルの行動は変だった。時々カメラ目線で観客に対して語りかけるような場面が何度かあったし。「さっさとやれ」と自暴自棄になる夫に対して、「映画の尺に足りてない」とか言ったり、観客に向かって「もういい?」なんて訊いたり。パウル一体何者? この映画を司る神か悪魔か?

それがあの逆回転ではっきりした。これは娯楽を目的とした暴力描写に対するアンチテーゼなのだ。

あれがハリウッド映画なら、ペーターを倒した後、夫婦は結束してパウルに反撃を開始するだろう。そして死闘の末、パウルを葬り去ることに成功するはず。抱き合う夫婦。輝く朝日。血まみれの中の達成感。観客もほっと胸をなでおろして席を立ち、今日の夕食は何にしようか頭を切り替える。

でも現実の暴力は、スクリーンの幕を降ろすように消し去ることはできない。すべての凶悪な殺人者が裁きを受けるとは限らないし、その被害者や遺族は永遠にその責め苦に苛まれ続ける。ハッピーエンドなんてありえないのだ。

映画の中だけで通用するルールを嫌った監督は、その映画を利用してルールを壊そうとしたのだろう。だからあの一家は悲惨な結末を迎えるし、パウルとペーターはいつまでも悪行を続けていく。なぜならそれが現実だから。

カンヌで上映された際には、耐えられずに途中退席する観客もかなりいたそうだ。それを賛否両論というのは安易だろう。観客が目を背けたくなるくらいの描写でなければ、このテーマを訴えることはできない。まさに監督の思うつぼだ。

あのパウルのしたり顔を、もう一度観たいとは思わない。観なくても、もう心に焼きついてしまったから。本当に後味悪くて、そして考えさせられる映画だった。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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