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神様のカルテ

昨年の本屋大賞で2位となったベストセラーの映画化。主人公の夫婦を演じるのは、アフラックの二人だ。今月期限切れのタダ券を持って、イオンシネマのレイトで観てきた。
この映画も「カーズ2」と同じで、タダ券がなければ観に行かなかったかもしれない。

というのも、原作を紹介するのに必ず使われるこの「本屋大賞」というやつが、あまり肌に合わないのだ。「このミス」の順位の方が自分には断然しっくりくる。これは本の好みや感覚の問題だから、理屈なんか全くない。きわめて個人的な理由だ。だから原作は未読。

なので、それで話題になった本は、逆に懐疑的になるのよね。天の邪鬼な性格だとは思うけど、性格なので如何ともし難い。そんな本が原作ならば、映画の見方もシビアになるというもの。期待度は低い。

こういうケースでは、思ったより出来がよくて、手のひらを返したように絶賛することが多い。実は本作も、そうなることを心の片隅で望んでいた。でも、そうはならなかったのよね。

まず、身も蓋もないことを書く。これって、映画にするような話か?

毎日毎日診察と治療に忙殺される若き医師イチは、お偉い先生に目を掛けられるが、ひとりの末期がん患者の最期を看取ったことで、前途洋々な未来を捨てて現場一筋を貫く決意をする…ってこの決断、そんなにすごいことか?

彼の選んだ道に異論を挟むつもりはない。だけど、医局に行ってその能力を最大限発揮して、今以上にたくさんの人を救うことだってとても重要だ。だから結局、どっちを選んでもいい話なのよ。それを天秤にかけてしまったことで、現場の方が大事だという価値観を観客に押しつけている。どっちでもいい話に、なんでこんな偏った決着をつけさせるの? 何度も言う。これはどっちでもいい話なのよ。もっとはっきり言えば、どうでもいい話なのだ。

それでもこれは映画なので、映画的な方法で感動に持ち込むことはいくらでもできる。残念ながらこの映画には、それもあまりなかったのだ。これは原作のせいではなく、作り手の問題だ。

まずイチを演じた櫻井翔だが、あの役作りで正解なの? 原作を読んでないのでわからないけど、スクリーンで観る彼に魅力や共感はこれっぽっちも感じなかった。

彼の特徴は夏目漱石ばりのスローなセリフ回し。これがキャラ受け入れの最大の障害となった。彼の奥さんハルや、同じ旅館に住む男爵、学士も同様だ。物語を文字で読む分には「変人が集まってるのかな?」と脳内補足が可能かもしれないが、映像化された彼らは誰が見てもただの変人だ。他人の作り上げた変人をそのまま受け入れるのは、とても難しい。大体、男爵とか学士と姫とかドクトルって何? 原作読んでないんだから、その辺ちゃんと説明してくれよ。不親切な表現の行間を読んであげるほど、こちらも親切じゃありません。

しかも、彼らの存在が浮きすぎてるせいで、メインのストーリー展開とかなり乖離しちゃってる。旅館を桜だらけにして、田舎に帰る学士を送る場面。最後の万歳三唱を観ていて思ったのは、「これ、本筋とどう関係あんの?」。

原作ではとても大事な場面なのだろう。だからカットできないのわかるが、映像化した瞬間に非現実的で必要性を感じないシーンになってしまった。もっとうまく料理できなかったのかな。もしこれが作り手の力量不足でないならば、もともと映画に向いてない原作だったということだ。

けなしてばかりでは心が荒むので、いいところは褒めておきたい。本庄病院の同僚たちは、なかなかどうして素晴らしい人物ばかりだった。

筆頭は、池脇千鶴演じる主任看護師。同期の変人イチを陰に日向にフォローする姿は信頼度抜群だ。彼女、本当はイチのこと好きだよね。はっきりとそうわかるシーンはないものの、彼女の目線や仕草がそう確信させるのだ。強気な表情に隠した乙女心。いいわ~。なんかいいわ~。

救急外来を仕切る看護師長を演じたのが吉瀬美智子。「引きの栗原」を完璧にサポートして、たくさんの患者を次々とさばいていく。スローモーなイチのケツを叩くのも彼女の仕事。一方で、限界近いイチに休憩を指示したりする。強さと冷静さと優しさをあわせ持つスーパーナースだった。

女性陣ほどではないものの、先輩の柄本明や同僚の要潤も、頼れる仲間を好演していた。医局の大先生役の西岡徳馬も、心の広い大物を嫌味なく演じていた。

一方旅館組は、キャラに魅力がないせいで残念な結果となった。宮あおいはもっとできる娘なのに、ずっと笑ってるだけの薄い役柄で実力を発揮できてない。彼女の責任じゃないだけにかわいそうだわ。

キーパーソンのがん患者を演じた加賀まりこは、ストレートな役どころが逆に新鮮に映った。彼女、いつもどこかひねたところがあるからね。でも、あまりにまっすぐ過ぎて物足りないのも事実。役不足なんじゃないの、これ。

子供ができたことをイチに告げるハル。二人のキャラと子作り行為がどうしても結びつかず、違和感ありありのラストだった。もう少しどうにかならなかったのかね。面白ければ原作を読もうと思っていたが、その気もなくなった。本か映画に感動した人ごめんなさい。オレには合わない作品でした。

<8/30追記>
イチの髪型って絶対変だよね。宮あおいも「大阪のおかあさんみたい」と言ってたし。これはどうやら監督の意向らしい。イチは忙しくてヘアスタイルに構ってなんかいられないから、あの髪型にしたというのだが…だったらただのボサボサにすればいいんじゃないの? あれのせいで、てっきり70年代が舞台の映画だと思い込んでいたので、携帯出てきてびっくりしたもの。観客をミスリードしないでちょうだい。

この監督って、後で気づいたが「白夜行」も撮ってるのね。あっちも本当にひどい出来で、このブログでこっぴどくこきおろした。この監督とは相性が悪いのかも。

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