パラノイドパーク

エレファント」は大いに疑問を感じる映画だったが、「ミルク」はドラマティックな実話として見応え十分だった。ガス・ヴァン・サント、個人的には観るのが賭けに近い監督だ。本作は吉と出るか凶と出るか。レンタルDVDで鑑賞した。
どうやら「エレファント」側に転んでしまったようだ。正直に言う。この映画のどこがいいのか、さっぱりわかりません。なので、いつもレビューを書く前には絶対にしないんだけど、今回に限ってほかの人が書いた感想をネットで漁ってみた。

中には苦言を呈する人もいたが、想像力をふくらませて行間を読んだものが多かった。みんな優しいんだね。映画の観方は人それぞれなので、本作を好きだという人はそれはそれで素晴らしいと思う。

オレがヤツの映画を深読みできない理由。それは、ヤツがそんなこと考えて作ってるようには思えないからだ。

スケボー好きなアレックスは、ある日スケボー公園で声をかけられ、列車に飛び乗って遊んでいた。そしたら鉄道管理のおじさんに叩かれたので反撃したら、おじさん転んで列車に轢かれて真っ二つ。怖くなって逃げ出したら、刑事が学校に来て調べ出したので、ビクビクしながらも嘘ついてごまかす。心の中がモヤモヤするので、うざい彼女と別れ、別の娘の薦めで手紙を書いてみた。以上。

こんな中身のない話、普通の映画人なら取り上げない。でもヤツは違う。主役に素人を起用したり、何の意味もない場面をスローで延々と映したり、時系列をちょっといじってみたり、中途半端なところで突然終わったりすれば、カンヌをはじめ多くの人々が、いろんな味付けを加えて賞賛してくれることを知っているのだ。だから、ただ撮れば15分で終わるようなクソつまんない話を、伸ばしに伸ばして長編にしてみた。それでも81分が限度だったけど。

エレファント」の時も「ヤツに思想なんかない」とぶった斬ったが、本作もまったく同じにしか見えない。「少年のうつろいやすい心情風景を見事に切り取った」なんて歯の浮くような褒め言葉、絶対に言えません。だってヤツはあざとい男だから。

「ミルク」が映画として成功した理由は3つある。ショーン・ペンら役者たちの演技が素晴らしかったこと。別人による脚本の出来がよかったこと。そして何と言っても、自身もゲイである監督が、我が事として情熱的に取り組んだためだ。自分のストーリーでもあるのだから、そこにあざとさはない。

でも「エレファント」にも本作にも、「ミルク」との共通点はない。一見ピュアな顔して撮ったように見せて、実はそれなりの打算で作った映画だと確信する。だから大っ嫌いだ。

アレックスを演じたゲイブ・ネヴァンス。演技は初めてだったようで、それも納得の無表情ぶりだった。キュートな顔してるので、女性からの受けはいいようだが、男から見たら魅力はゼロ。かわいい彼女に興味を持てない役柄にも共感できない。あの年代で性欲ないのはなぜ? もしやアレックスも裏設定はゲイ? おっと深読みしてしまった。これじゃヤツの思うつぼだ。

ジェニファーを演じたのは、アヴリル・ラヴィーン似のテイラー・モンセン。あんな娘に迫られて、いつのまにか初体験終了なんて、どう考えても幸せすぎる。やっぱり許せんわ、アレックス。

路上でスケボーの練習してる若者を見ると、昔から「邪魔くせ、こいつら」と思っていた。だから余計に嫌悪感を抱くのかもしれない。パラノイドパークを滑ってるところを長々と見せつけられるのは、苦痛以外の何物でもありませんでした。ああ面白くない映画だった。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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