ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2

本当は公開初日のレイトに並んだのだが、1時間前でもほぼ満席でいい席はナシ。せっかく3Dで観るなら端っこはイヤなので諦めた。今日は、レイトのために午前中に席を取り、万難を排して鑑賞に臨んだ。
このシリーズが始まった頃、自分の仕事が事務系から営業系に大きく変わった。あれから4回の異動があり住む場所も3回移った。私生活でもいろいろあって、個人的にもまさに激動の10年だった。

大好きな映画に関しても、仕事が忙しかったり精神的に乗らなかったりで、まったく観ない時期も数回あった。そんな中でもこのシリーズだけは、必ず劇場に足を運んできた。原作のファンというわけでもないのに、特別な想いがあるのはなぜか。

世界的なベストセラーだから、全作映画化されていくだろうことは、1作目の時から想像はついた。その道のりが容易でないことも。

一番重要なのはキャストだ。初めは子供だったハリーやロンやハーマイオニーも、どんどん成長していってしまう。とろとろ映画を作っていたら間に合わない。途中で俳優を変えることも可能だが、1作目のキャスティングは奇跡と言えるほど成功していた。あれを変更しちゃイマイチだ。

障害は加齢だけではない。彼らが今後何か問題を起こしたりしないか。病気になったり、万一のことが起こったりしないか。子役がダメになる理由は山ほどあり、実際にダメになった子役は山ほどいるのだ。長期スパンでの起用はリスキーこのうえない。

逆にこの賭けが成功すれば、映画史上類を見ないファンタジーシリーズのキングとなるのは間違いない。自分はその歴史の目撃者になりたかった。だから、1作1作を楽しみにしていたのだ。

本シリーズの魅力はもちろんそれだけではない。英国を代表する俳優たちが次々と顔を出す楽しさ。彼らは一度出演すると、その後の作品でも同じ役で出てくるのだ。1作ごとの持ち時間は短いというのに、一つの長い物語を作り上げるために、あれだけの名優が協力している。彼らを画面に見つけるたびに、他の映画では味わえない興奮を感じられた。

ただ、それぞれ1回ずつしか観ていないため、以前のエピソードを忘れてしまったり、全編に散りばめられた細かな伏線がうまく機能しなかったりということはある。原作を読み込んだり、映画を何度も観ているファンの人たちから見れば、決して熱心な観客ではないことは認める。でも、大好きなんですよ、ハリポタ。

大団円を迎える本作。正直、「謎のプリンス」と「死の秘宝 PART1」の満足度は低かった。着陸に向けて機首を下げ始めた雰囲気に馴染めなかったのが原因だ。しかしそれもすべて本作のためと思えば我慢できた。それだけこの「PART2」に対する期待は大きい。

前編では分霊箱を3つ破壊。後編も残りの分霊箱探しで話はスタートする。ベラトリックスら変身して銀行の金庫に潜入、カップを破壊し脱出するくだりは、このシリーズの面白さを凝縮したようなアクションシーンだった。ハーマイオニーの活躍にも大満足。

そして舞台はホグワーツへ。前編では出番のなかった副校長が、ハリーを守るために新校長スネイプと対決する。マギー・スミス、今回はマジかっこいいです。

次の分霊箱探しでは、不思議ちゃんラブグッドの助言が役に立つ。ドラコらの邪魔が入るが、見事破壊に成功。死にかけたドラコを逆に助けたりして、ハリー株は上がるばかり。ドラコも多分心変わりするんじゃないかと。

この最終章では、2つの謎が解き明かされる。ひとつはスネイプの裏切りだ。冷たい表情の裏に本当の狙いを隠すのが得意なのは、「秘密の部屋」で実証済み。だから彼が校長を殺した時も、ヴォルデモート側に寝返った時も、「本当は違う。何かを成し遂げるためにヴォルデモートの近くにいるのだ」と読んでいた。

彼の過去が明らかになる場面は、シリウス・ブラックに感動した「アズカバンの囚人」に匹敵する名シーンとなった。彼はハリーのママに恋してたのね。彼の恋はちょっとやそっとで消えてしまうようなものではなかった。そして、愛する人の息子を守るために、校長を殺す運命を受け入れるのだ。やっぱりね、と思う以上に、スネイプの海より深い想いに心を打たれました。

そしてもう一つの謎、最後の分霊箱についても答えが出る。それはハリー自身だった。ガーン。これは思いもよらなかった。じゃあ、ハリーは自分を犠牲にしてヤツを倒すということ? こりゃ最後にふさわしい展開だわ。

その後は、ハリーが死んだり生き返ったり、ホグワーツを舞台に善と悪の死闘が繰り広げられたり、ロン・ハーマイオニー・ネビルが大ヘビ(分霊箱)を始末したり、ハリーVSヴォルデモートの最後の対決があったり、幕切れに向けてめくるめく展開が続く。もちろん最後はハッピーエンドだ。

19年後の彼らとその子供たちが、ホグワーツ行きの分数ホームに集うラスト。ハリー&ジニー夫婦と、ロン&ハーマイオニー夫婦が顔をあわせる。ドラコの顔もチラッと見えた。グリフィンドールに入りたがる息子に助言するハリー父さん。どうやら、あれからの時間は平和に流れたようだ。意外性はないけど、ほのぼのするエンディングだった。これで10年のつきあいも終わりかと思うと、それなりに感慨はあるよね。

劇場に貼ってあったポスターのコピーは、「10年間ありがとう」。これは作り手側からの観客へのメッセージだろうが、いいものを見せてもらってきたこちら側の想いでもある。本当に10年間ありがとう。

いずれ全作網羅したブルーレイボックスが発売されるだろう。今までDVDを我慢してきたのは、これを待っているからだ。出たら絶対に買います。そして、1作目からまた浸らせてもらおう。

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