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パリ20区、僕たちのクラス

2008年のカンヌでパルム・ドールを受賞した作品。DVD借りてきた。
問題児ばかりのクラスで担当教師が悪戦苦闘するドラマは、日本にもたくさんある。代表的なのは「金八先生」だが、教育熱心な先生が生徒と真正面からぶつかって、最後には問題を解決してくれる。悪かった生徒の素行も正常化に向かい、心の絆も深まるというのが定番だ。

本作には、金八先生みたいな熱血キャラは出てこない。主役のフランソワは、悪い生徒に対して辛抱強く対処しようとしている点で大人だが、あまりにひどい生徒の挑発に乗らずにいられるほど聖人君子でもない。平均的な教師の姿って、きっとこういうもんだろう。金八さんみたいな人、現実にはなかなかいないよ。

さらに日本と違うのは、いろんな国の出身者が集まっていて、人種や宗教の問題も深刻なところだ。3年B組も不良だの妊娠だのいろいろあったけど、肌の色はひとつだったからな。外国の先生は大変だわ。

フランソワのクラスは、まさに「こまったちゃん」の吹きだまり。今年になって急に反抗的になったクンバ。重箱の隅を茶化しまくるエスメラルダ。まったく言うこと聞かないスレイマン。常に騒がしいブバカール。他人を攻撃してばっかりのラバ。半過去を学ぼうとしないアンジェリカ。自己紹介に否定的なリュシーとジュリエット。唯一まともに見えたウェイまで、親の不法入国が明らかになる。こんなクラスの担任、どれだけ金積まれてもなりたいとは思わん。

それでも比較的忍耐力のあるフランソワ。字が書けないスレイマンを察して、写真による自己紹介を指導するあたり、なかなかの教育者なところを見せる。生徒一人一人の賞罰を決める会議では、批判する他の教師たちを制して彼を擁護する。このおっさん、懐広いわ。

なんでそんな重要な会議に、生徒代表として子供が紛れ込んでるのか、フランスの学校運営はよくわからない。出席したのは、エスメラルダと成績優秀ルイーズ。会議中ずっとくちゃくちゃ喋るわお菓子は食うわ、ふざけるのも大概にしろ状態だったくせに、フランソワの想いを真逆に捉えて、「スレイマンを叩いていた」と当の本人に伝えるのだ。こいつらにはマジで憤りを覚えたわ。特に中身の腐ったエスメラルダは、しゃくれた顔まで殴りたくなってくる。

だからフランソワがつい暴言を吐いてしまっても、これは絶対に仕方のないこと。もっと言えば彼は国語教師。「下品な女」という意味の「ペタス」という言葉が、生徒たちには「娼婦」というスラングで受け止められてしまう。フランソワ、全然悪くないのにかわいそすぎる。

売り言葉に買い言葉で授業は大暴走。スレイマンは大爆発。ヤツのバッグが顔に当たったクンバは大出血。この事件が大事になり、結局スレイマンは退学となってしまう。それでも懲罰会議を避けようと周囲の説得を図るフランソワ。自分の感情はさておいて、可能な限り生徒の将来を考えている。この先生、ヒーローでもなんでもない分、すごく共感できる。もし自分が教師だったら、金八さんにはなれないが、フランソワにはなりたいと思うもの。

時は過ぎて、学年末も近づいた頃。クンバは昔に戻って穏やかになり、クソ女エスメラルダもプラトンの「国家」なんて読んでたりして驚かせる。フランソワがまとめた自己紹介本で、みんな笑顔になって喜びもつかの間、「自分は何も学んでない」とアンリエットが言ってくる。ドカーン。今までの努力が一瞬にして消え去る脱力感。先生に安息の時間は存在しないのね。いやはや大変な仕事だわ。

中学生が24人も出てくるのに、一人として演技くさい芝居をする者がいない。明らかにフィクションなのに、ドキュメンタリーを観ているのかのような自然なタッチ。聞けば、演技未経験の中学生ばっかりだって言うじゃない。主役のフランソワも、原作を書いたフワンソワ・ベゴドー本人だっていうし。素人だけ集めてこんな映画作ってしまうなんて、オレの想像の域を超えている。パルム・ドールなんて、獲って当たり前じゃん。

よくある学校もののように、先生と生徒が抱き合って涙を流すわけでもない。2時間つきあって、少しのカタルシスも感じられない。でも今のリアルな学校を、まるでその教室に一緒にいたかのように目撃することができた。

問題を解決しようとしまいと、1年は経ち、また新しい生徒が入ってくる。その繰り返しだ。いつまでも終わらない戦いに、真摯に向き合う先生を見て、自分も頑張らなきゃいかんな、としみじみ思った。つくづくすごい映画だ。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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