デンデラ

節電対応で、明日出社する代わりに今日は休み。イオンシネマのモーニングショーで観てきた。
今年の冬、庄内映画村で撮影された映画なので、地元の劇場は平日だというのにお客さんでいっぱい。しかもそのほとんどは、まさに「デンデラ」世代だ。ふだんあまり映画館に来ない人たちもたくさんいるはず。こういう客層に囲まれて、過去いい思いをしたことがない。

なので、逆に何かあっても驚かないよう心の準備をした上で鑑賞開始。そのおかげで、メイの亡くなる大事な場面で談笑を続ける婆さんたちや、途中で席を立とうとして前の席の人(=オレ)の頭に手を置いて体を支えた爺さんにも、広い心で対処できた。でもできれば、こういう方々は観に来ないでほしいもんです。今は家でも映画が観られる時代ですから。

数々の妨害に負けることなく観た本作。そもそも、姥捨て山のその後ストーリーに興味はなかったのだが、鑑賞中は少しもダレるところなどなく、ぐいぐい引きつけられる2時間だった。

いつの時代の設定なのかわからないが、70歳を迎えると「お山」に捨てられる風習が残るある山村。浅丘ルリ子扮するカユは、雪深い山奥で倒れてカラスに突かれているところを助けられる。目が覚めて周りを見ると、かつて自分より先にお山へ行った先輩たちがうじゃうじゃ。

その場所こそが「デンデラ」。カユは、今年100歳になるデンデラ創始者のメイから、お前は50人目のデンデラメンバーだと告げられる。

ほぼ全編雪山が舞台で、真冬のロケの厳しさがダイレクトに伝わってくる。しかも出演者はご年配の方々ばかり。よくこんな映画作ったな、というのが素直な感想だ。あれ、まさに命がけだよ。キャスト、スタッフの皆さん、本当にご苦労様でした。

そんな熾烈な環境で見せる、女優たちの迫真の演技。彼女たちの努力は、年末の賞レースをかき回すこと必至だ。

特に凄かったのが、メイを演じた草笛光子だ。30年前にお山に捨てられたが、木の皮を食べて飢えをしのぎ、火を起こして寒さをしのぎ、次々と捨てられる老女たちをスカウトして、村人の知らない集落を築き上げる。彼女を支えたのは、とにかく生きたいという想い、そして、自分を屑扱いした村人たちへの復讐心だ。

圧倒的な指導力で女たちをまとめあげる様子は、「カリスマ」と呼ぶにふさわしい。彼女の語る言葉は過激で、ついていけない者たちは「意気地なし」と呼ばれてしまう。村人皆殺しの考えには共感できなくても、彼女の勢いあふれる強さには魅力を感じざるをえない。今年喜寿を迎える草笛光子だが、「枯れた演技」ではなく「火花はじける演技」を見せられるとは思わなかった。スタンディングオベーションで喝采を贈りたい。

メイに対峙するのは、村に一番の恨みを持ちながらも襲撃に異を唱える、意気地なし代表のマサリ。演じるのは倍賞美津子だ。

村人たちから受けたむごい仕打ちで、潰された片目のアイパッチが風貌に凄みを与えている。でも、復讐すれば村人と同じになってしまうと、仲間数名とともに「意気地なし連合」を組む。

平和主義者のマサリだが、デンデラを守るためなら、迷うことなく闘いの先頭に立つ。最後は自ら犠牲になって、親熊を罠にかける。片目を失った熊に向かって、自分も潰れた眼を見せるマサリ。間違いなく熊に負けない迫力だった。さすがは猪木の元奥さんだ。彼女の静かな迫力にも圧倒されました。

主役の浅丘ルリ子も熱演だったが、二人の「Wミツコ」に挟まれて思ったほど目立っていなかった。すごく頑張っているのがわかるだけに、ちょっとかわいそうかも。

ラストはあれでよかったのか、ちょっと疑問が残る。宿敵である傷負い熊との最後の戦いが、尻切れになっちゃった。さらには別の熊まで出てきて、脳内は小混乱。メイの執念があの熊を呼び出して村人を襲った、ってことでOK?

淡々とした老人ドラマを予想していたが、いい意味で全然違っていた。天願監督、なかなかいい仕事をしたんじゃないでしょうか。「楢山節考」と同じテーマを扱っていながら、全く異なるアプローチで、生命力あふれる人々を描ききっている。親父さんに追いついたとは言わないが、ただの二世監督ではないことは証明したようだ。次回作も楽しみにします。

<おまけ>
うちの会社は、デンデラ世代の女性がたくさん現役で働いている。庄内映画村のエキストラに登録している人もいて、今回75歳にしてあのロケに参加した方がいます。劇中ではどこに出ていたか確認できなかったんだけど…。

彼女、あの「おくりびと」の撮影にも参加していて、周りからは「アカデミー賞女優」と呼ばれています(笑)。

そのとおりと思ったら、ポチッ!

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://creview.blog67.fc2.com/tb.php/930-d11feea1

■映画『デンデラ』

70オーバーの超熟女たちが50人集合し、自分たちを捨てた村人や、野生の熊に戦いを挑むという映画『デンデラ』。 若い女性はほとんど出演しておらず、迫力たっぷりの“かつて日本を代表していた”美女たちが、ぼろぼろの薄汚れた衣服に、煤けたメイクで登場しているこの...

«  | HOME |  »

タイトル一覧/記事検索


最新記事


記事ランキング

アクセス解析


検索ワードランキング


レンタルCGI


最新トラックバック


最新コメント


カテゴリ


プロフィール

Tao

Author:Tao
性別:♂
子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


RSSフィード


リンク



【BDもDVDもBOXで!】


【あの映画をお手元に!】