ザ・ロード

文明が滅び、荒野と化したアメリカを舞台に描く近未来終末ドラマ。DVD借りてきた。
昨年6月に日本で公開されたが、その一週間前にデンゼル・ワシントン主演の「ザ・ウォーカー」が封切られている。どっちも同じような設定のロードムービーだが、主役のネームヴァリューであっちの方が館数が多かったみたい。自分も「ザ・ウォーカー」は劇場で観たけど、こっちは地元のシネコンではかからず。

本国での評価も同様だったようで、「ザ・ウォーカー」が1億ドル近い興収を上げたのに比べ、本作はなんと800万ドルちょっと。全然ヒットしなかったのね。海外の売り上げを加えても、やっと元が取れるぐらいだ。

確かに「ザ・ウォーカー」と比べると、売りの弱さが際立つ。先方は、主演のデンゼルにゲイリー・オールドマンを敵役としてぶつけて、対立の構図をはっきりさせていた。一方本作には、略奪者が出てきたりはするものの、明確な悪役は登場しない。

また、「ザ・ウォーカー」はアクションにもかなり力を入れていたので、見せ場も多く飽きずに最後まで観られた。こっちはドラマ中心なので、アクションはほぼ皆無。同じジャンルでありながら、ストーリー展開の方法が全然違うのだ。アピール度が高いのは当然前者であり、ヒットしたのもうなづける。

だが、だからといって本作がつまらないわけでは決してない。荒れ果てた道をひたすら南へ進む父と子の、生きるための壮絶な旅が、現実味たっぷりに描かれているのだから。

何が起きてそうなったかは、明確になっていない。とにかく今の環境は崩壊し、街は危険にあふれ、死ぬ方がマシな社会に変わってしまう。出産後、妻は精神が不安定になり、ある時父子をおいて出て行く。父子は厳しい冬を越すために、警戒しながら一路南へ向かう。

彼らを脅かすのは、凶悪な略奪者や人肉食いの連中だけではない。一番大変なのはやはり食料だ。餓死寸前の状態で地下の食料庫を見つけた時は、わが身のごとく喜んでしまった。でもそれだって長くは続かない。

病に対して何もできないのも恐ろしい。咳き込むことが多くなり、ついに吐血までする父親。そんな折、弓矢の襲撃を足に受け、歩くこともままならなくなってしまう。そして迎える死。呆然とする息子。

あんな世の中で、しかもあの年齢で、唯一の守護者を失う気持ちってどんなだろう。その辛さは想像を絶する。安易に共感なんぞできない。

最後はガイ・ピアース一家に保護されてひと安心だが、あの少年には強く生きてもらいたいものだ。数年後、たくましく成長した彼のドラマを観てみたい。

全編薄暗くて、昼間のホームシアターでは何が起きているのかよくわからず。一旦中断し、夜に鑑賞を再開した。画面も地味なら、話の流れも地味。でも、最後まで目が離せなかった。善き者たちに善き未来が訪れんことを祈りながら観ていた。派手な場面はないが、重厚な物語に圧倒された。重いのでまた観たいとは思わないけど、もっと日の目を見てよい良作である。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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