恐喝こそわが人生

深作欣二が松竹でメガホンを握ったアクションドラマ。レンタルDVDで鑑賞した。
松方弘樹、若いわ~。当時26歳、「仁義なき戦い」よりも前なんだから当然だ。若いせいか、それほどギラギラしていなくて、逆にスタイリッシュなカッコよさにあふれている。

社会の底辺から這い上がろうとして見つけた稼業、それが恐喝。ヤクザじゃないので、決して殺さない。あくまでカツアゲにこだわるところに、チンピラなりのポリシーがある。劇中では、悪いことしてる連中相手に強請りをかけるので、やってることは犯罪でもあまり抵抗感なく感情移入できちゃう。

本作は大きく3つのパートに分かれている。ひとつ目は、隠し撮りをネタに金持ちを恐喝する組織がターゲット。客として乗り込み、脅してきた相手を脅し返す。これはまんまと成功し、金ではなくフィルムをせしめて、それを使ってさらに儲けていく。

組織の親玉を地下室に閉じ込めて、バラす相談をドア越しに聞かせて脅すシーンが出色だった。ちょっと聞き取りづらいのがまたリアルで、初めは偉そうにしていた親分がどんどん追い詰められていくのが痛快だ。最後はなんか網に隠れてたね。笑っちゃうくらいかわいそうでした。

次は、ジョー山中(当時は城アキラ)扮するゼロ戦の殺された父親の復讐劇。組の代貸を拉致してボコボコにしたあと、麻薬取引の場に踏み込んで金と薬をせしめようとする。火炎瓶は飛び交うわ、車は横転するわ、本作で一番の派手な見せ場の連続だ。

爆発で何も手に入れられずに去る車中の台詞。
関「くそぉ、もったいねえ。4億円の儲けをよぉ」
おとき「でもさ、ゼロ戦は気がすんだろ?」
ゼロ戦「ああ。でもよぉ、みんなにムダ骨折らせちまってよぉ」
村木「まあいいさ。敵討ちで銭儲けたって話は昔から聞かねえよ」
4人「アッハハハハ」

この会話がなんとも爽やかで潔くて、仲間同士の結びつきが強いのを感じさせてくれる。人がやたら死ぬ映画とは一線を画していて、それが本作の魅力でもあるのよね。

若い室田日出男もジョー山中もよかったが、「フーテンのおとき」を演じた佐藤友美には参った。若くて美人で度胸は男勝り。面白いことに目がなくて、密かに村木を慕っている。村木が女優夏子と逢引き中の別荘にびしょ濡れで現れ、電話に出なかったことを責めたあと口笛を吹くおとき。屈折した乙女心がにじみ出た名場面だった。

最後のでかいヤマの相手は、政財界の黒幕。総裁選に絡んだ裏取引の念書をネタに、当時は破格の1億円を強請りとろうとする。相手は大御所、丹波哲郎だ。かつてない大物相手に果敢に挑むが、すぐに返り討ちにあってゼロ戦は殺される。これ以上仲間を失いたくない関が抜け、残るは村木とおときだけ。

「チンピラはチンピラなりのやり方で戦う」と奮闘するも、相手は一枚も二枚も上手で、念書そのものが偽造とされてゲームセット。村木は銀座のど真ん中で、殺し屋に刺されて絶命する。

DVD特典の対談によると、あのラストは隠し撮りで撮影したそうだ(警察の許可は取った)。驚いてよける周りの人々がリアルなのもうなずける。横断歩道で倒れる場面は、信号の青と赤の間というから、実際はものすごく短い。それをスローモーションやストップモーション、イメージフラッシュを駆使して、あの壮絶な最期に仕上げたらしい。

映画なので、巨悪に対し一矢報いてほしかった気もする。だが、チンピラの無念さにあふれた最期の村木の台詞の余韻も深い。「くそっ、バカにしやがって」。こんなやるせないラストも悪くない。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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