英国王のスピーチ

とにもかくにも出演陣が素晴らしすぎる。主演男優賞総なめのコリン・ファースは、吃音症演技もさることながら、自分に自信は持てないけどプライドは高い国王という超難役を見事に演じきっていた。悩める王様なんて庶民には想像できないけど、彼も人の子なのね。
「アナザー・カントリー」の共産主義者役でファンになって以来、もう30年近く彼の活躍を観てきた。地味な顔立ちのせいか堅物な役どころが多く、日のあたるところが似合わない感じさえあった。そんな彼が米英両方のアカデミー賞を制覇するまでになるとは。コリン・ファース、偉大な俳優だと思います。心から「おめでとう!ありがとう!」と言いたい。
国王を助ける発音矯正の専門家に扮したジェフリー・ラッシュ。彼の演技にはまったく安心して身を任せられる。真面目なフリをしたと思ったら、次の瞬間にはとぼけた顔して笑わせる。この人ホントうまいわ。
医者の資格もなく、演じることへの夢も捨てきれない。家庭では大きな顔なんかできないし、時に言いすぎて国王の逆鱗に触れたりする。人を導く立場だけど、自分だって弱点だらけ。人間くさいけどでも愛にあふれた男、ライオネル・ローグ。もうジェフリー・ラッシュ以外考えられない。これぞまさにはまり役だ。
国王の妻エリザベスを演じたヘレナ・ボナム・カーターも、弱くてもろいダンナを献身的に支えるよき奥さんを好演。今年は「ハリポタ」ファイナルも控えていて、45歳になってますます大活躍だ。
昨年の「ハート・ロッカー」、そして今年の本作と、2年続けて出演作がアカデミー賞に輝いちゃったガイ・ピアース。コリン・ファースより年上を演じるにはちょっと無理があるが、女にうつつ抜かして王位を捨てちゃったチャラ国王にはぴったりだ。
実は自分もたまに吃音症が出たりすることがある。人前で話すことが苦手なわけではないのだが、長い文章などを読んでいると、途中で舌が勝手にピクリングするのだ。そんなにしょっちゅうではないので全然気にはしていないが、一時期頻繁に出たときがあって、自分をもどかしく感じた。あれはストレスが原因だったと思う。
だから、あれが日常だったらどんなに辛いだろうか、ある程度の想像はつく。父親のジョージ5世みたいに、わからない人にはわからないんだろうけどね。言われれば言われるほど追い詰められちゃって、さらに言葉が出なくなってしまう。
不安な時代には、民を未来へ導く強いリーダーが求められる。リーダーは行動だけじゃなく、心に訴える言葉で語りかける能力が求められる。今なら「話し方講座」なんてそこら中でやってるし、ハウツー本は巷にあふれかえっているけど、あの時代にはそんなのないよね。ヒトラー見て、「何言ってるかわからないけど、演説はうまいな」と思わずほめちゃう気持ち、よくわかります。
そんなジョージ6世が一世一代のスピーチに挑むクライマックス。目の前には、平民ながら今や親友となったローグが見守っている。彼の名指揮ぶりもあって、聴いた人すべてが感動する開戦スピーチとなった。演説のうまい人がうまく演説したのではなく、話が苦手で自信のない人がたどたどしくも懸命に語った言葉だから、思わず拍手が起こったのだ。
人生辛くても立ち向かわなきゃいけない。支えてくれる人がいるんだから頑張らなきゃいけない。感動して号泣、というタイプの作品ではないけれど、すごく大事なことを教えてくれる映画でした。ギリギリ劇場で観られてよかった。
そのとおりと思ったら、ポチッ!
「アナザー・カントリー」の共産主義者役でファンになって以来、もう30年近く彼の活躍を観てきた。地味な顔立ちのせいか堅物な役どころが多く、日のあたるところが似合わない感じさえあった。そんな彼が米英両方のアカデミー賞を制覇するまでになるとは。コリン・ファース、偉大な俳優だと思います。心から「おめでとう!ありがとう!」と言いたい。
国王を助ける発音矯正の専門家に扮したジェフリー・ラッシュ。彼の演技にはまったく安心して身を任せられる。真面目なフリをしたと思ったら、次の瞬間にはとぼけた顔して笑わせる。この人ホントうまいわ。
医者の資格もなく、演じることへの夢も捨てきれない。家庭では大きな顔なんかできないし、時に言いすぎて国王の逆鱗に触れたりする。人を導く立場だけど、自分だって弱点だらけ。人間くさいけどでも愛にあふれた男、ライオネル・ローグ。もうジェフリー・ラッシュ以外考えられない。これぞまさにはまり役だ。
国王の妻エリザベスを演じたヘレナ・ボナム・カーターも、弱くてもろいダンナを献身的に支えるよき奥さんを好演。今年は「ハリポタ」ファイナルも控えていて、45歳になってますます大活躍だ。
昨年の「ハート・ロッカー」、そして今年の本作と、2年続けて出演作がアカデミー賞に輝いちゃったガイ・ピアース。コリン・ファースより年上を演じるにはちょっと無理があるが、女にうつつ抜かして王位を捨てちゃったチャラ国王にはぴったりだ。
実は自分もたまに吃音症が出たりすることがある。人前で話すことが苦手なわけではないのだが、長い文章などを読んでいると、途中で舌が勝手にピクリングするのだ。そんなにしょっちゅうではないので全然気にはしていないが、一時期頻繁に出たときがあって、自分をもどかしく感じた。あれはストレスが原因だったと思う。
だから、あれが日常だったらどんなに辛いだろうか、ある程度の想像はつく。父親のジョージ5世みたいに、わからない人にはわからないんだろうけどね。言われれば言われるほど追い詰められちゃって、さらに言葉が出なくなってしまう。
不安な時代には、民を未来へ導く強いリーダーが求められる。リーダーは行動だけじゃなく、心に訴える言葉で語りかける能力が求められる。今なら「話し方講座」なんてそこら中でやってるし、ハウツー本は巷にあふれかえっているけど、あの時代にはそんなのないよね。ヒトラー見て、「何言ってるかわからないけど、演説はうまいな」と思わずほめちゃう気持ち、よくわかります。
そんなジョージ6世が一世一代のスピーチに挑むクライマックス。目の前には、平民ながら今や親友となったローグが見守っている。彼の名指揮ぶりもあって、聴いた人すべてが感動する開戦スピーチとなった。演説のうまい人がうまく演説したのではなく、話が苦手で自信のない人がたどたどしくも懸命に語った言葉だから、思わず拍手が起こったのだ。
人生辛くても立ち向かわなきゃいけない。支えてくれる人がいるんだから頑張らなきゃいけない。感動して号泣、というタイプの作品ではないけれど、すごく大事なことを教えてくれる映画でした。ギリギリ劇場で観られてよかった。
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英国王のスピーチ
51点
2010年のイギリス映画で、
監督はトム・フーパー、主演はコリン・ファースです。
2010年度のアカデミー賞で作品賞、主演男優賞、脚本賞を受賞しています。
イギリスの王子ヨーク公が
吃音症(...