ウォール・ストリート

23年前の正編は昨日しっかり復習した。満を持しての続編鑑賞。朝一の回、イオンシネマのタダ券で観てきた。
本国での興行収入も5000万ドルどまりで、評判もそれほど高くないことは知っていた。でも、今まで自作の続編を一度も撮ったことのないストーンが、初めて手がけるPART2だ。きっと何かがあるんだろうと思っていた。

ムショ帰りのゲッコーはすっかり初老の雰囲気で、昔のギラギラ感はほとんどない。一線から退き、本を書いて、その印税と講演で稼いでいる。悠々自適のマンション暮らしも実は賃貸。

でも、話せば説得力があるし、カリスマとしての魅力は衰えていない。娘の婚約者ジェイクに、疎遠になった娘との橋渡しを頼む代わりに、ジェイクの復讐に一肌脱ぐ。経済や社会の裏を説くゲッコーは、余分な脂が落ちて、爽やかな魅力さえ感じさせる。娘に見せる父親の貌は、共感を呼ぶのに十分なもろさがある。

あれ?ストーンって、こんな主人公を描く監督だっけ? アクが強くて理解困難、だからこそ常人には考えられない波乱の人生を送る、そんな男ばかりを撮ってきたんじゃなかったっけ? 「スカーフェイス」のトニー・モンタナや「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のスタンリー・ホワイト(以上脚本)、「サルバドル」のリチャード・ボイルや「7月4日に生まれて」のロン・コヴィック、「JFK」のジム・ギャリソンや「ナチュラル・ボーン・キラーズ」のミッキー&マロリー、「ニクソン」や「アレキサンダー」のタイトルロール、みんなそうじゃないか。

でも、「ワールド・トレード・センター」のカラーはちょっと違った。あんな誰もが応援したくなるストレートなヒーローを主役にするなんて、ストーンのオヤジらしくないと思ったものだ。

心を入れ替えたかに見えたゲッコーだが、ジェイクをそそのかして、娘に託していたスイス銀行の金を手に入れる。裏切られたジェイクもゲッコー娘も、そして観客もしばし呆然。やっぱりゲッコーはゲッコーだったんだ。金に汚いゲス野郎だったんだ。がっかりだ・・・。

と思いきや、ラストにどんでん返しが待っていた。娘の金で一線に復帰した彼は、資産を8倍に増やした上で、ジェイクが肩入れしていたエコ企業に多額の寄付をする。そして、改めて娘の許しを請うのだ。うわ、そう来たか。ただ改心したんじゃない、まっことゲッコーらしいやり方じゃないの。

「WTC」の時と同じく、本作でもストーンの路線変更を強く感じる。昔なら、批評家筋からの袋叩きを覚悟の上で、びっくり破天荒な人生を見せてくれただろう。前作よりもパワフルなゲッコーを登場させて、「いやはやなんともストーンのオヤジすごいわ」と思わせてくれただろう。彼も今年で65歳、ちょっとは大人になったのか、円~い人間を描くようになったみたいだ。

前作と比較して批判するのは簡単だ。勢いも落ちているし、衝撃もさほど感じられない。作る意味があったのかと疑問に思われても仕方がない。

それでもオレはこの映画を、ストーンのオヤジを嫌いになれない。あれだけ物議を醸したフィルモグラフィの彼がたどり着いた境地がここなのだ。様々な敵と戦ってきた彼だからこそ、この温かい視線にはほっとさせられる。それを「ぬるい」と感じるのも間違いじゃない。でもオレにはその「ぬるさ」さえ、微笑ましく思えるのだ。

彼はこれからも、ちょっとぬるい映画を作っていくのかもしれない。それでもいいさ。これからもなんだかんだ言いながら観させてもらいます。いつまでもなんか気になる監督、それがストーンのオヤジなのだ。

<おまけ>
前作とのつながりがいろいろ楽しめる本作。ノンクレジットのチャーリー・シーン、不動産屋のシルヴィア・マイルズ、株屋の監督本人、そしてトーキング・ヘッズの主題歌。昨日前作を観てなければ忘れていたかも。復習しておいてよかった。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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