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白夜行

同じく今日公開の「GANTZ」とどちらを取るか迷ったが、あっちが混んでるというのでこっちにした。レイトショーで鑑賞。
東野圭吾の作品数ある中で、一冊選べと言われたら迷わずこの原作を推す。分厚い文庫だったが、あっという間に読んでしまった記憶がある。分量もさることながら、主人公二人の哀しくも切ない人生に、ただただ圧倒された。

本作はTVドラマ化されているが、そちらは未見。もちろん韓国版にも舞台版にも触れたことはない。この映画が初めて観る映像化作品ということで、いやがうえにも期待は高まった。しかも主役は堀北真希だし。かわいいだけなく、確かな演技力で魅せてくれるはずだ。早く始まってくれ!

…と期待しすぎたのは認める。しかしなんだろう?観終わってみてのこのあっさり感は。思ったほど胸に迫ってこないのだ。原作にはもっと圧倒されたのに…。

時間が短かかったのかと考えたが、2時間半と言えば結構な尺だ。しかもあっという間の2時間半だった。原作はあれだけの大作だが、主要なエピソードはほとんど落としてないと思われる。あれ以上長ければ逆にダレてしまうだろう。

キャストにミスがあったわけでもない。堀北真希は期待通りの美しさと冷たさで、衝撃のヒロイン雪穂を学生から大人まで演じきっていた。対する高良健吾も、ネームヴァリューの低さを感じさせない堂々とした演技を披露していた。キーマンの船越英一郎も、二人に人生を振り回される人情刑事になりきっていた。他の配役も、それぞれ個性を出していたように思う。

原作は◎なのに、映画はムムム。こういうケースは、優れたミステリーが映画化される時よく起こるものだ。原作では十分な書き込みでカバーされていた部分が、映像化された瞬間に無理や矛盾として映されてしまうのだ。今回のそれは、やはり主役二人のキャラだ。

好きな子を地獄から救うために実の父を殺めた亮司と、実の母を殺めた雪穂。そこまでは同情できるのだが、その後二人は、自分たちを貶めようとする者たちを暴行したり、殺したりして、正直理解できなくなってしまう。雪穂も亮司もレイプは憎むべき犯罪だと思ってしかるべきなのに、雪穂は亮司を使って同級生だの親友だの義理の妹だのを次々と襲わせる。そんな主人公たちに共感なんかできんでしょ?

でも原作は感動したのよね。だいぶ前に読んだもんだから、なんでこんなに違うのかははっきり説明できない。たぶんそこが、東野圭吾の天才たる所以なんだろう。原作の持つ重要なエッセンスを抽出するのに、この映画は失敗したに違いない。

オレと同じようにこの原作を一番にあげる東野ファンは多いはず。それだけ思い入れの深い名作なのだから、相当の愛着を持つ人が製作するべきだ。しかし本作の監督は、オファー後に初めて原作を読んだらしい。あくまでビジネスで本を手に取った人に、この深い世界の再現は絶対無理でしょ?

公式サイトの監督のコメントを読んでも、正直がっかりするだけ。
「雪穂のことは最後までわかりませんでした」
「亮司が事件を起こす動機もよくわかりません」
「(笹垣の視点で描いたことが)原作とは違うディレクションだったと思います」
これは、原作レイプじゃないのかい?

映画に寄せた原作者の言葉を読むと、この上なく納得できます。一見期待している風に見えて、実はかなり否定的なコメント。さすが東野圭吾、見事な騙しだわ。長いのだが引用したい。

「この小説の完璧な再現はおそらく不可能だろうというのが私の正直な気持ちです。その理由は時間的な制約だけではありません。私がこの小説で描きたかったのは、主人公たちの理屈では説明できない負の感情そのものです。したがって彼等の行動もまた、常識では理解できないものとなりました。しかし小説を読んだ人々は、どうしても理屈を求めます。主人公たちの心を「自分なりに」理解しようとします。読者一人一人がそれをしている分には何も問題はないのですが、映像化という形で特定の人間たちの「理屈」が開陳されるとなれば話が違います。今回の映画では、主人公たちの感情にどんな「理屈」が付けられているのか-それが最大の見所だと思います。」(チラシより抜粋)

この映画で描かれた「理屈」は、自分の考えているものとは違っていた。ていうか、この映画に「理屈」はなかった。だから感動とは程遠い結果となったのだ。そう思っている原作ファンは、とても多いんじゃないだろうか。

原作を読んでいなければ面白い映画に思えたかもしれないが、それは決していいことではない。今回軍配が上がったのは、圧倒的に原作の方だ。今回の映画化はされるべきではなかった。残念ながら。

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