ブレイブ ワン

「パニック・ルーム」「フライトプラン」「インサイド・マン」と、ここんとこ犯罪ものが続いてるジョディー。またも同じかと思いきや、今回はちょいと違う。本作では、ついに犯罪者の側に回るのだ。キャッチコピーも、「許せますか、彼女の選択」と、やたら煽りまくる。
実際には、煽りすぎだったね。確かにセンセーショナルな内容だけど、予告編観てある程度予想はついてるし、丹念な描写のおかげで、「彼女の選択」に対する違和感や反感はほとんどない。これだと、許すも許さんもないわ。
最初の殺人は、完全な正当防衛。地下鉄の2人射殺も、ナイフで脅されてるんだから、ああするしかない。少女拉致監禁の変態オヤジに対しては、初めは「正義の味方」的行動だけど、結局最後に相手が殺意を見せたから、仕方なくやったことだ。
大物悪党マロウを始末した件、あれはどうやっても法的には擁護できないな。立派な犯罪だ。しかし、信頼できる刑事のマーサーがあれだけ憎んでいるんだから、この世にいない方がいい男だってことは確かだ。ならば・・・いっかな。彼女も手負いの傷を受けたわけだし。
ただ、マロウ殺しはさすがにやりすぎだと気づいたはず。もう悪党殺しは辞めようと思ったはず。なのに、事件は彼女を放してはくれない。絶対に許せない連中は、この手で殺す。自分がどうなろうと構わない・・・。
そんな悲壮な覚悟に包まれたクライマックス。この物語の行く末を、いろいろ想像した。ここまで来てしまった以上、彼女も死んでしまうんだろうか。いや、それではあまりに安易だ。彼女には生きていてほしい。でも、お縄になるのは論外だ。そんなつまんない展開にするなら、映画じゃなくて六法全書でも読めばいい。かといって、さらなる悪党根絶を決意する、女処刑人の誕生譚みたいなラストも心地よくないし・・・。
そんなこちらの思いに、この映画は応えてくれた。法に従うことを良しとしてきたマーサーが、信条を大きく曲げて、彼女の無念を晴らす手助けをする。そして、わざわざ重傷を負ってまで、彼女を守ってくれた。彼のおかげで、ドヨンな展開は避けられた。重いけど、救いのあるラストになった。
やったことは殺人なんだから、彼女も罪を償うべきだ、という人もいるかもしれない。事実だけを見たならば、オレもそう思ったかもしれない。でも、全然そう思わなかったのは、ジョディー・フォスターとテレンス・ハワードの静かで熱い演技と、ニール・ジョーダンの熟練の演出のおかげだ。
そして、注目すべきは脚本だ。原案から担当しているロデリック・テイラー、過去の作品はB級SFやB級ホラーばっかりで、「こりゃ、監督と演技陣のカバーがうまかったんだな」と早合点しかけた。そして、驚いた。えっ!この人「密殺集団」も書いたの!?
今から25年も前に、法で裁けない悪に制裁を与える特別法廷を描いた名作、それが「密殺集団」だ。すごいな、四半世紀たっても同じテーマを追ってるなんて。しかも、罪を犯した主人公の扱いは、ちゃんと進化している。共感度は本作の方が上かもしれない。
過激な内容にも関わらず、ちゃんと大人の映画に仕上がっていた。1ヶ月待った甲斐があったわ。
そのとおりと思ったら、ポチッ!
実際には、煽りすぎだったね。確かにセンセーショナルな内容だけど、予告編観てある程度予想はついてるし、丹念な描写のおかげで、「彼女の選択」に対する違和感や反感はほとんどない。これだと、許すも許さんもないわ。
最初の殺人は、完全な正当防衛。地下鉄の2人射殺も、ナイフで脅されてるんだから、ああするしかない。少女拉致監禁の変態オヤジに対しては、初めは「正義の味方」的行動だけど、結局最後に相手が殺意を見せたから、仕方なくやったことだ。
大物悪党マロウを始末した件、あれはどうやっても法的には擁護できないな。立派な犯罪だ。しかし、信頼できる刑事のマーサーがあれだけ憎んでいるんだから、この世にいない方がいい男だってことは確かだ。ならば・・・いっかな。彼女も手負いの傷を受けたわけだし。
ただ、マロウ殺しはさすがにやりすぎだと気づいたはず。もう悪党殺しは辞めようと思ったはず。なのに、事件は彼女を放してはくれない。絶対に許せない連中は、この手で殺す。自分がどうなろうと構わない・・・。
そんな悲壮な覚悟に包まれたクライマックス。この物語の行く末を、いろいろ想像した。ここまで来てしまった以上、彼女も死んでしまうんだろうか。いや、それではあまりに安易だ。彼女には生きていてほしい。でも、お縄になるのは論外だ。そんなつまんない展開にするなら、映画じゃなくて六法全書でも読めばいい。かといって、さらなる悪党根絶を決意する、女処刑人の誕生譚みたいなラストも心地よくないし・・・。
そんなこちらの思いに、この映画は応えてくれた。法に従うことを良しとしてきたマーサーが、信条を大きく曲げて、彼女の無念を晴らす手助けをする。そして、わざわざ重傷を負ってまで、彼女を守ってくれた。彼のおかげで、ドヨンな展開は避けられた。重いけど、救いのあるラストになった。
やったことは殺人なんだから、彼女も罪を償うべきだ、という人もいるかもしれない。事実だけを見たならば、オレもそう思ったかもしれない。でも、全然そう思わなかったのは、ジョディー・フォスターとテレンス・ハワードの静かで熱い演技と、ニール・ジョーダンの熟練の演出のおかげだ。
そして、注目すべきは脚本だ。原案から担当しているロデリック・テイラー、過去の作品はB級SFやB級ホラーばっかりで、「こりゃ、監督と演技陣のカバーがうまかったんだな」と早合点しかけた。そして、驚いた。えっ!この人「密殺集団」も書いたの!?
今から25年も前に、法で裁けない悪に制裁を与える特別法廷を描いた名作、それが「密殺集団」だ。すごいな、四半世紀たっても同じテーマを追ってるなんて。しかも、罪を犯した主人公の扱いは、ちゃんと進化している。共感度は本作の方が上かもしれない。
過激な内容にも関わらず、ちゃんと大人の映画に仕上がっていた。1ヶ月待った甲斐があったわ。
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ブレイブ・ワン 【称号:佳作】
NYでラジオ番組のDJを務めるエリカは、突然襲ってきた暴漢たちに婚約者を殺され
「ブレイブワン」(2007・米/濠)
現在、全国ロードショー中です。\"THEBRAVEONE\"監督・・・ニール・ジョーダン出演・・・ジョディ・フォスターエリカ・ベインテレンス・ハワードショーン・マーサー刑事ナヴィーン・アンドリュースデイビッド・キルマーニメアリー・スティーンバージェンキャロルニッキー
ブレイブ ワン
ゴースト + デスノート
近年のジョディ・フォスターの出演作では最高!
「ブレイブ ワン」観てきました♪
☆「ブレイブ ワン」
監督:ニール・ジョーダン
出演:ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、ナヴィーン・アンドリュース、メアリー・スティーンバージェン、ニッキー・カット、ジェーン・アダムス
ニューヨークでラジオ番組のパーソナリティとして活躍するエ
ブレイブ ワン
今年観た外国映画の中では屈指の作品です。 ハリウッド映画としてはかなりの異色作ですが、このような殺人を肯定する作品がどこまで受入れられるかはちょっと不安です。 ラストにはかなり賛否が分れるのでは
ブレイブワン
ジョディ・フォスター、テレンス・ハワード、メアリー・スティーブンバージェン。
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バック・トゥ・ザ・ヒューチャー3のクララ先生。
***
1stデイ、映画館での鑑賞。
予告は「ウォーター・ホース」「紀元前1万年」
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