選挙

ベルリン映画祭に正式出品され、話題になったらしい。チラシの裏の絶賛も、鑑賞意欲をそそる。だって、「日本について、今まで観た全ての黒澤映画を合わせたのより多くのことを、この映画一本で学んだ」だぞ。どんだけすごいねん。シアターキノで観てきた。
実際ふたを開けてみると、いつも選挙のたびに目にする光景が多く、ある意味予想通りだった。別に政策を訴えるわけでもなく、ただただ大声で名前を連呼する候補者。街中を走り回る選挙カー。奥さんも駆り出されて、必死で夫を応援する。日本人なら飽きるほど目にしてきた、選挙運動のひとコマだ。

でも、外国人から観たらこりゃ異様だよね。「日本って、こんなバカな方法で大事な政治家を選んでんの?マジ?!」と、口をあんぐり開けっぱなしの2時間に違いない。

しかも、信念があっての立候補じゃないしね。こないだまでコイン商だった切手大好きな鉄っちゃんが、公募で選ばれちゃって落下傘候補になっただけだし。外人が驚くのは方法論よりも、むしろこっちの方かも。

では日本人にはあくびの出る映画かというと、決してそうではない。面白かったのは、市民にアピールしている以外の部分を撮影したところだ。

しかし、よくあんなところまでカメラ入ったね。自民党って、案外懐広いのかな。選挙事務所の中の会話、結構ヤバいよ。おばさんたちの差別発言連発とか、某新聞の勧誘エピソードとか、政治の先輩たちのエラそうな態度とか。この候補者、当選する前から政治生命賭けてるわ。

気の弱い小泉純一郎といった風情の主人公、山内和彦。名前覚えちゃったよ、すっかり。ただでさえ地盤もないパラシュートソルジャーなのに、穴埋めのねじれ選挙で、「今回だけは私に!次からは石田先生に戻っていいですから!」なんて、涙の出るような訴えを必死でしてる。かわいそうだわー。まさに使い捨て。

それでも必死で戦う山内夫妻。奥さんが爆発する夫婦喧嘩のシーンは、劇場内大爆笑だった。「なんで市議の妻程度で、私が仕事やめなきゃいけないのよ!もし当選できたって、次の選挙はどうなるかわからないじゃない!総理大臣だった考えてもいいけどさ!」。ダンナに投票しなくても、この叫びは誰もが支持するね(笑)。

実際問題、奥さんは正しかったようで、山内議員は今年春の選挙には出馬しなかった様子。落下傘で当選したはいいが、その後組織が作れず、出馬するとしても無所属。こりゃ無理ということで断念したらしい。今は失職して「主夫」に。奥さんに食わせてもらってるのね。

まあ、自民党を離れたからこそ、この映画を堂々と宣伝できるわけだし。政治の中に身を投じるより、政治を一度体験した者だけができる政治批判で頑張ってほしいわ。ね、山内和彦さん。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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