プレステージ

これまで一度もハズレた映画を作っていない、まさにプレステージ(偉業)なノーラン監督。新作待ってたぜ。モーニングショーで観てきた。
本作は、「フォロウィング」や「メメント」ほどではないものの、やはりノーラン監督らしく、かなりトリッキーだ。

監督お得意の時間操作は、本作でも健在。アンジャーがボーデンの日誌を手に入れる前と後、そしてボーデンin刑務所と、3本の時間軸が入り混じっている。最初はちょっと戸惑った。でも、頭をフル回転させて、流れを捕まえてしまえば、緻密に計算された物語世界を堪能できる。

そして、もう一つ格別にトリッキーなのは、そのストーリーだ。観客をあっと言わせるその仕掛けは、監督自身が冒頭でわざわざ「ラストは言わないで」とお願いするぐらいの超ド級。監督にお願いされちゃったから、基本ネタバレ全開の当ブログでも、なるべくネタに触れずに書くことにします。

「瞬間移動」というイリュージョンが本作の肝で、そのタネがラスト近くで明かされる。そしてそれは、いたるところにしっかりと伏線が張られている。ただ、観客はマジックばりのミスディレクションによって、気づけないだけ。

・・・オレ、気づいたけどね。それも、かなり早い段階で。ここ数年のクリスチャン・ベイル映画は大概観てるからかな。

驚いたのはボーデンのトリックではなく、アンジャーとテスラのコラボによるイリュージョンの方だ。何でこの映画が、サターン賞のSF映画部門にノミネートされていたのか、やっとわかった。あれは賛否両論起きても仕方ない。ミステリーには禁じ手だろう。

まあ、オレは面白かったけどね。テスラ役に人間離れした雰囲気のデヴィッド・ボウイーをキャスティングされたら、なんか「これもアリだな」って思ってしまったもの。

どんでん返しが続く展開も目を離せなかったが、オレが2時間画面に釘付けにさせられたのは、主役二人のマジックに対する狂気とも思える執念だ。特に感情移入させられたのは、ヒュー・ジャックマン演ずるアンジャー。

奇術の才能ではボーデンに敵わないと、自分でもわかっている。妻を殺された恨みもあって、必死でボーデンを出し抜こうとするが、いつも上を行かれている。その悔しさ、痛いほどわかる。

そんな彼が手に入れてしまった、禁断の箱。その恐ろしい副作用を考えれば、イリュージョンなんかに使おうなんて普通考えないはず。でも彼は、ボーデンを越えた「プレステージ」を得る方を選んだ。

こんなに狂ったキャラ、狂った話に、普通なら共感なんて不能だろう。なのに、現実はぐいぐい引き込まれてしまった。

見事な脚本と、完璧な監督、そして迫力の演技陣による、圧倒的な2時間だった。これだけ期待に応えてくれる映画には、滅多に出会えるものではない。

そのとおりと思ったら、ポチッ!

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://creview.blog67.fc2.com/tb.php/697-ef8add20

「プレステージ」:門前仲町バス停付近の会話

{/kaeru_en4/}ここだ、ここだ、門前仲町の有名なまんじゅう屋。{/hiyo_en2/}毎日毎日、同じおまんじゅうがここで生まれてるのね。{/kaeru_en4/}ああ、まるで映画の「プレステージ」のようにな。{/hiyo_en2/}そう、あの映画の主人公たちはマジシャンだから、毎日毎日同じマジ

«  | HOME |  »

タイトル一覧/記事検索


最新記事


記事ランキング

アクセス解析


最新トラックバック


最新コメント


カテゴリ


プロフィール

Tao

Author:Tao
性別:♂
子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


リンク



【BDもDVDもBOXで!】


【あの映画をお手元に!】