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紙屋悦子の青春

わが生涯の女優原田知世の新作にして、黒木和雄監督の遺作となった戦争映画。これは観なきゃいかん。モーニング・ショーで鑑賞。
最初と最後の現代部分を除けば、ほとんどの場面が茶の間と客間のみ。元が戯曲なだけあって、映画も舞台を観ているかのような限定された空間で話が進む。

空襲の描写もなければ、人が死ぬところも出てこない。なのに、決して平穏ではない田舎の暮らしが、ひしひしと伝わってくる。戦争の暗雲が、一家の中にまで侵食してくる様子がわかる。戦闘を描かなくても、戦争映画は作れることに脱帽した。黒木監督、天才だわ。

かと言って、全編暗いムードなわけではない。小林薫と本上まなみの会話は、まるで夫婦漫才。「おまえは悦子と一緒になりたかったのか?オレは二の次か?」って、気持ちはわかるけどまるで駄々っ子(笑)。

悦子と永与のやりとりもおかしい。「お嫌いですか?」「いえ、一目見たその日から・・・」いやいや、おはぎのことだし。ここ、結構笑い起きてました。

そんな笑いがある一方、泣ける場面は我慢ができなくなる。ふさの「赤飯もらっきょうも、爆弾に当らないためじゃなく、普通においしく食べたい」で、涙腺振り切れた。

明石が出征の挨拶に来る場面。暗い顔の悦子に、明石が言う。「決心がにぶるじゃないですか・・・」。そんな明石に悦子が返す。「敵の艦を、敵の空母を沈めてください」・・・本心は「行かないで、死なないで」なのに、それをぐっと飲み込んでる。残される女性にそんな台詞を言わせる戦争って・・・。

悦子も涙をこらえてるんだから、観ているこっちも唇かみ締めて、泣くまいと泣くまいと必死だった。でも、どうしてもこらえきれなかった。気づくと号泣してました。歯を食いしばりながら。

表情や台詞がすべてを語っているわけではない。でも、その奥に隠された思い、行間に秘められた言葉が、痛いほど伝わってくる。これって、日本人だからわかるんだろうな。日本人だから泣くんだろうな。切ない映画だった。

5人の登場人物すべてが好演。原田知世はいくつになっても若いなー。女学生で十分通るわ。永瀬正敏は、表情硬くて不器用な男がはまり役。老け演技も見事だった。松岡俊介は、秘めた思いを胸に旅立つ若者がぴったり。爽やかで泣けた。小林薫も、昔の父ちゃんという感じで安心して見てられる。

そしてなんといっても、本上まなみだ。こんなに演技力がある女優とは思っていなかった。一家の精神的柱となる奥さん役を、見事な安定感で演じきっていた。旦那を心配するあまり怒り出すところなんか、自然に感情移入してしまった。いい奥さんだわー。

またまた勉強不足を痛感するのだが、黒木監督の映画はほとんど未見。亡くなってからで申し訳ないけれど、これからたくさん観ることにします。ご冥福をお祈りします。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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