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私は貝になりたい

フランキー堺主演の反戦映画の名作。レンタルビデオで観た。
日本を代表する名脚本家、橋本忍が初めてメガホンをとった作品。この手腕なら、その後次々と監督してもよさそうなものだ。しかし、次に監督したのは本作の23年後、珍作の呼び声高い「幻の湖」だ。シナリオに徹するのが一番と、本人自身がわかってるのかもしれないね。

この映画には、そんな弱いところはひとつも見当たらない。脚本も演出も完璧で、まさに映画の見本だ。

クソ上官のクソ命令により、自分の良心を押し殺して犯した罪。でも、本来この罪は上官がすべて被るべきで、当の清水豊松は責められるべきではない。なのに、裁く側はそんなの斟酌しない。戦勝国のルールは敗戦国に厳しく、豊松は死刑を言い渡される。

自分が同じ立場でも、豊松と同じ行動を取らざるをえないだろうから、この理不尽さは半端でない。どこに怒りをぶつければいいのかわからない。共感度は100%だ。

あとはもう、嘆願書が受け入れられるか、講和条約も結ばれるかして、執行されずに済む可能性に賭けるのみ。木曜日になれば呼ばれないようにと祈り、木曜日が過ぎれば安堵のため息をつく。豊松と一緒に一喜一憂していた。

それでも、矢部の死刑執行後1年間誰も処刑されないと、「もしかして、もう死刑はない?」と思いたくなる。死んだはずのB・C級戦犯が実は巣鴨で生きてると聞けば、そんな噂も信じたくなる。

だから、木曜日に呼び出されたにも関わらず、豊松は嬉々として独房を出て行く。この時すでに観客は、どす黒い不安の渦に巻き込まれているというのに。

何か起こる前に観客に気づかせる、このイヤな予感の演出が抜群にうまい。赤紙が届く場面も、逮捕される場面も、ちゃんと前ふりがされていて、「あ、これヤバイわ」って思うのよ。橋本忍の名脚本と名演出によるところ大だ。

そして、この悲劇に拍車をかけるのが、フランキー堺の名演だ。喜劇役者の彼が演じる豊松は、庶民的で頭もそんなに強くない。その辺にいる明るいおじさんなのだ。普通に生きていればこんな運命とは無縁の、気のいい平均的日本人なのだ。

あの上官があんなこと命令しなければ・・・と恨むのは簡単だ。でも問題は、本当はそこにはない。戦争そのものがすべてを狂わせてしまったのだ。そして、そんな愚かな戦争をなくすことができない人間に絶望して、豊松は最期にあの邦画史に残る名台詞を言うのだ。

この絶望にどっぷりと飲み込まれて、鑑賞後もしばらくボーっとしていた。ただの名作ではない。戦後何年経とうと、まったく色あせずに、日本人の心に訴えかける、孤高の傑作だ。今、この地球上で戦争を起こしているすべての人間に突きつけてやりたい映画だ。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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