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日本沈没

「ポセイドン」「オーメン」と、今年は70年代大ヒット作のリメイクが流行ってるみたい。73年に作られたオリジナルは、今年の1月にビデオを借りてきて観ておいたが、今観ても色あせない傑作だった。このリメイクは大変だぞ。期待半分、不安半分で、レイトで鑑賞。
「ポセイドン」と同様、特撮のリアルさと迫力は特筆すべきものがある。さすが樋口監督、今の邦画の最高水準をしっかりと見せてくれた。エンドクレジットはハリウッド大作並みに、特撮関係会社の名前がずらーっと連なってたね。この点ではオリジナルを遥かに超えていて、リメイクした価値は十分にあったと言える。

ただ、監督自身かなり力を入れたというドラマ部分は、評価が難しい。これはオリジナルからの最大の変更点が大きく影響している。(以下、オリジナルのネタバレ大いに含む)

最大の変更点、それは「日本が沈没しない」ことだ。

33年前は、地球が剥いた巨大な牙の前になすすべがなかった。日本は消滅し、日本人のアイデンティティは失われかけた。だからこそ、「何もせん方がいい」という選択肢は、強烈なインパクトがあった。世界中に散らばり、バラバラになってしまった日本人が、まさにわが身に思えたのだ。

本作は、そこまで観客を追いつめない。33年の技術の進歩は、プレートを分断する荒業を可能にし、結果わずかとは言え、日本は残る。そして、その奇跡を起こしたのは、一人の男なのだ。

視点は、日本人全体から彼一人にシフトしてしまった。「日本沈没」は一人の男のヒロイックな物語に変わってしまったのだ。この違いは大きすぎるほどに大きい。

草ナギ剛演じる小野寺がやった偉業は、奇跡以外の何ものでもない。海底に奇跡的に残ったN2爆弾の起爆装置を、30年前のボロ潜水艇で奇跡的に拾い上げて、ワンチャンスで小さな小さな穴に奇跡的に投下する。こんなのルーク・スカイウォーカーでも大変だぞ。フォースでも使わなきゃ絶対ムリ!

あまりにムリなことをやってしまうと、娯楽色が強くなりすぎて、真剣なテーマが後退してしまう。娯楽映画だと割り切れれば構わないが、オリジナルに感銘を受けている者としては、素直に「やったー!」なんて喜べない。能天気なハリウッド映画みたいなんだもの。

「この映画を観て監督になろうと思った」という樋口監督。まるで「キング・コング」をリメイクしたピーター・ジャクソンみたいじゃないの。でも、話を根本的に変えてしまうと、「本当にあの映画を愛していたの?」と疑問を投げかけたくなる。もしオレが監督なら、日本は沈没させるよ。その方が深い作品になるもの。

ただ、映画全体の流れが、よりパーソナル重視へと向かってるから、21世紀にリメイクすればこうせざるを得ないのかな。主役をしぼった方が、集中しやすいしね。

ならば樋口監督、もう少し男と女をうまく描いた方がいい。剛と柴咲コウのテントの中のラブシーンは、観てて困ってしまった。「抱いて・・・」「・・・今はできない」って、なんでしょうアレは? あそこは感情のままにいくのが映画の定石だし、その方が観ている方はすんなり共感できるよ。

(自分は死ぬつもりでいるのに、ここでやっちゃって子供でもできたら、相手が大変だ。オレは面倒見られないんだし。だから・・・)「今はできない」って言うんでしょ? それは確かに責任感があって現実的な対応なんだろうけど、ならば最後まで現実的に話を進めてよ。プレート爆破なんて、いかにも東宝SFな発想じゃん。

二人の別れのシーンは、逆に盛り上げすぎ。なぜあそこで久保田利伸のバラードが高らかに流れるの? 過剰な演出には、条件反射的に斜に構えてしまう。ああいうので泣く人もたくさんいるのはわかるけどね。あまりに安易だ。

かなりこき下ろしてしまったので、ちょいと方向を修正。オリジナルと比べずに、単体のパニック映画と思えば、それほどひどくもない。日本中の有名な建物が崩壊していくさまは、実際にあったら大変だけど、スクリーン上なら面白かったりする。廃ビル爆破を見たいと思う感覚に似てるよね。それが六本木ヒルズや109だったりするんだから、見てみたいさ。

キャスト全員大熱演だったけど、その中でも特に印象に残ったのが、及川光博と大地真央だ。ちょい変キャラのイメージが強い及川が見せるナイスガイぶりと、堂々とした女性のイメージが強い大地が見せる頼りなさ。こんな二人は今まで見たことがなかった。そして、どちらも思わず応援したくなるキャラだった。この二人は、今後の賞レースでも注目されるでしょう。

いっぱい批判してしまったが、これはすぐにオリジナルと比べたがるオレの悪いクセ。ちょっと疲れ気味で観たんだけど、135分間まったく眠くならなかった。劇場で観る価値のある、この夏屈指の大作だ。さらに編集してもっと短くしたら、海外に出してもいいんじゃないかな。

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Comment

[557] こんばんは

私的には全く納得いかない映画でした。
ボロクソに貶してしまいました。
樋口さん、尊敬してるんですけどねえ・・・
本当にこれで良いのか?と聞きたくなりました。

[558] >ノラネコさん

樋口監督って今年で41なのに、そんな貫禄微塵もないところに愛嬌を感じます(笑)。永遠の特撮少年って感じね。

インタビューで、「特撮の前後に入る人間のお芝居が、特撮をよりリアルに見せる」ってなことを言ってました。彼にとって、ドラマは特撮を盛り上げるためにあるもの。普通は逆だと思うんですが。そこをわかって観に行くと、あんまり腹も立ちませんでした。

特撮はよかったですから(笑)。

[575]

こんばんは~。何度も感想を読んでいたので、”テントでの会話”が気になって気になって^^
Taoさんの心理分析にも頷きましたが「ミッションの前だから緊張してて・・今はできない」のかな~。愛情だけじゃ無理では?
細かいことを抜きにすれば、迫力ある特撮を楽しめました!!

[577] >パフィンさん

そっか!つまり「今は立ちが悪いのですみません…」ってことね(笑)。でも、人間こういう時こそ種の保存本能が働くって話ですよ。
まあ、あそこでツヨポンがコウちゃんを押し倒しちゃったりしたら、東宝とジャニーズとコウちゃんの事務所に、膨大な抗議の手紙が行くんでしょうしね。だったら初めから、「抱いて」なんて言わせなきゃいいのにね。

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