初恋

女子高生が三億円事件の犯人という大胆な設定。しかもその高校生を、犯罪とは全然縁のなさそうな宮崎あおいが演じている。初めて聞いたときは荒唐無稽な話だと思ったけど、どうやら真面目に作った映画みたいだ。これは観ておかなくちゃ。
実際観てみると、高校生みすずが犯行にいたるまでの経緯、心情の変化がとても丁寧に描かれていて、実に自然に受け入れられた。もう彼女が犯人で決まりでしょ(笑)。

この映画、決してよくあるタイプのクライムムービーではない。三億円事件という、昭和史に残る完全犯罪をモチーフにしていながら、その類の緊迫した場面が多かった印象は全然ない。タイトルが示すとおり、これは一人の女性が辿った、衝撃的な初恋の物語なのだ。

女が犯罪に走る過程には、必ず男が存在する(らしい)。みすずも岸に出会わなければ、あんな大それたことしたりはしなかった。恋がなんなのかもよくわからないのに、心惹かれた男から真剣に頼まれたら、もうそれ以上の理由なんかいらなくなっちゃった。「阿弥陀堂だより」でも樋口可南子が言ってたもんね。「望まれてやるのが女ってもんよ」って。

みすずを取り巻く環境も、彼女の決断に少なからず影響している。誰からも必要とされず、孤独を噛みしめていた自分に、岸だけが「お前が必要なんだ。お前にしかできないんだ」と言ってくれた。純粋なみすずが、「あんなこと言われたの生まれて初めて!」と舞い上がったとしても不思議はない。たとえ犯罪話だったとしても。

しかし運命とは残酷なもので、岸はみすずのもとを去ってしまう。決してかなうことのない約束をして。そしてみすずはずっと待ち続けるのね。事件が1968年だから、もう40年近く経つ。みすずも50半ばだ。でも、まだ待ってるね、きっと。だって、「心の傷に時効はない」んだから。

「NANA」では天真爛漫な表情ばかりだった宮崎あおいが、ここではほとんど笑顔を見せない。暗くて孤独、そして一途な女子高生を静かに熱演していた。変われば変わるもんね。さすが女優だわ。たまに笑うと、これまたかわいいんだけど。

岸が愛読していた本に書かれていた言葉。絶対に言わないと決めていたみすずへの思い。あの場面、男のオレもみすずと一緒に涙しました。みすずと岸、両方の気持ちが洪水のように流れ込んできて、すっかり飲み込まれてしまった。ここまでせつない物語だとは思ってなかった。本当に彼らが犯人だったなら、許してあげたくなる。被害者の人たちには悪いけど。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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