ポセイドン

オリジナルは1972年のパニックアドベンチャー大作。あれだけ完成度の高い名作を、今さらリメイクする意味があるのだろうか。疑問を解消するには観るしかない。レイトで鑑賞。
あんまり期待できない本作の、唯一の希望は監督だ。ペーターゼンには個人的に裏切られたことがない。どんな素材も見事に料理する、職人シェフのような監督だ。「U・ボート」「パーフェクト・ストーム」と、海を舞台にした傑作を世に出した実績もある。彼なら、新しい「ポセイドン・アドベンチャー」を作ることが可能かもしれない。

そんな複雑な期待を胸に鑑賞したんだけど、結果的には失望の方が大きかった。

まずはいいところから書こう。34年の技術の進歩はダテじゃない。まず冒頭の、ポセイドンを全方位からなめ回していくカメラに驚く。まさかあんな豪華客船本当に作るわけないから、当然CGなんだろうけど、やっぱりすごいね。

その後の大波から、船が逆さまになっていく様子も、迫力が違う。エンドクレジットでやたらスタントの人の名前が並んでいたのもうなずける。ラストも、ポセイドンが沈むところまできっちりと見せてくれる。明らかに見た目はよくなった。

しかし、それでもオリジナルより劣っているのは否めない。問題はキャラクターだ。(以下、オリジナルのネタバレを大量に含む)

オリジナルは、ジーン・ハックマン扮する牧師のアクが強くて、「ポセイドン・アドベンチャー」といえば、船よりも彼の顔の方が浮かんでくるぐらいだ。悪く言えば強引だが、あんな生きるか死ぬかの瀬戸際では、あれくらいのリーダーシップが必要なのだ。彼について行けば、ヘロヘロになるけど助かる。ついて行かずに非難した者は、皆死ぬ。逆境におけるリーダーとはどうあるべきかを、深く考えさせられる映画になっていた。

片や本作はどうか。ハックマンに該当するのは、元市長のカート・ラッセルだ。しかし、主役がもう1人(ジョッシュ・ルーカス扮するハスラー)いるせいで、彼の存在感がかなり薄れてしまっている。ラスト間際で死ぬのは同じだけど、オリジナルが神へ唾する迫力さえ感じさせたのに、こっちは娘を守るためならえんやこら~だ。悪くはないけど、こじんまりとしちゃったね。リーダーシップは微塵も感じられず。死に方もいまいち。炎の中と水の中では、こんなにも違うものか。

オリジナルにはもう1人、強烈な印象を残すキャラがいた。シェリー・ウィンタースだ。太めな彼女が命を懸けて必死で泳ぐ姿には、感動を覚えずにはいられない。アカデミー賞ノミネートも納得だった。

本作でも死ぬ女がいるけど、特にドラマはなし。水の中で何かに引っかかって、どっかに頭ぶつけて出血して溺れて、引き上げられたはいいがすでにお陀仏状態。この人には何をさせたかったのだ?感動させたきゃ、もっとドラマを盛り込まないと。

キャラクターの描き方が致命的に弱い。これは脚本の問題だろう。船が逆さになるアイディアと、進歩した特撮があれば儲けられる映画になると考えた、製作者たちの問題でもある。事実本国では、思ったより客が入っていないらしい。巨額の制作費は、海外での売り上げとDVDでなんとか回収するしかないだろう。

単なるサバイバル映画としてなら、決して悪い出来ではない。偉大な名作をリメイクするには、相当の覚悟と工夫がいるということだ。それもなく安易に作れば、こんな結果になる。残念だが同情の余地はない。つくづく残念だが。

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Comment

[621]

はじめまして!
僕はまだ過去の作品は観てないんですが、サクサク話が進んで楽しかったです。それに比べTaoさんは深いですねぇ!
んで、今回TBさせてもらいましたが、リンクも貼らせていただいいて良いですか?

[622] >カっツンさん

ぜひオリジナルもご覧ください。あれを観ておけば、本作に時間を割く必要はないくらいですから。30年以上前の映画だと思えば、特撮にも驚嘆できますよ。
TBもコメントもリンクも、100%フリーですので、好きなだけどうぞ♪ これからもよろしくです。

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