ナイロビの蜂

大好きレイチェルの新作、しかもこれでアカデミー賞まで獲っちゃったとなれば、観に行かない訳にはいかない。地元のシネコン、よくかけてくれた。またスルーかと思ってたよ。レイトで観てきた。
原作がジョン・ル・カレだっていうから、てっきりスパイものと思っていたら、さにあらず。黒幕は、貧困と飢餓と疫病にあえぐアフリカから甘い汁を吸おうとする製薬会社と保健大臣だ。

この業界のうさんくさい話ってよく耳にする。都合の悪いデータを隠蔽したり改ざんしたり、官僚と癒着して無理を通したり。その結果、大勢の人の命が失われるかもしれないのに、そんな事これっぽっちも考えない連中が、世の中に確実に存在する。冷戦が終わり、スパイの活躍の場がなくなった現代において、こういうヤツらこそ、現実に退治すべき悪役なのかもしれない。

ただ、映画そのもののスリラー度は決して高くない。「シティ・オブ・ゴッド」の監督だから、もっと刺激的な映像が多いのかと思っていたが、全編予告編と同じ静かなトーン。突然やもめになってしまった男の、妻の実像を追い求める姿を、淡々と描いている。われらがレイチェルは回想シーンにしか登場しない。

もしかしたら浮気?なんて疑っていた自分が恥ずかしくなるほど、妻は自分を愛してくれていた。それを改めて認識させられて、妻が果たせなかった仕事を、代わってやり遂げようとする。それまでガーデニングにしか興味のなかった男が、命の危険も顧みずアフリカの地を駆け回る。レイフ・ファインズが穏やかな演技を見せれば見せるほど、彼の熱い想いが伝わってくる。名演である。

そしてやっぱりレイチェルが素晴らしい。あれで24歳ってのはちょっと無理があるけど、いい女だからあっさり許しちゃう。彼女の魅力は、あの瞳だ。優しさと力強さを両方たたえた瞳。彼女に見つめられたら、引き込まれずにはいられない。アカデミー賞も納得である。

あの世とか来世とかって信じてないんだけど、ジャスティンとテッサ、この二人には死後の幸せを祈らずにはいられない。命と引き換えに手にいれた手紙は、親友のハモンドがちゃんと読み上げてくれた。安らかに眠っていいよ。

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Comment

[466]

TBどうもでした~♪
>こういうヤツらこそ、現実に退治すべき悪役なのかもしれない。
ほんま、そう思う!企業だから営利を追求するのは当然だと思うけど、人の死の上にそんなもの追求したらアカンでしょ!しかも、あんたら製薬会社なんだよ!薬ってのは、人を助けるために作るもんでしょ!って思いながら観てました。企業のエゴ、どうにかならないもんでしょうかね・・・

[467]

>はっちさん
だから、今の企業にはコンプライアンスが求められるんですね。コンプラって日本語だと「法令遵守」って訳されるけど、オレは道徳だと思います。法人も個人と一緒のものが求められるんですね、当たり前ですが。
だから、こんな時代に悪いこと(特に刑法犯罪)やってニュースになるような会社は、存在すべきじゃないですね。

[495] 夫婦愛もですが社会派な映画で意外でした

二人のお互いを思う姿に感動しましたが、やりきれない思いも残った映画でした。
テッサが死んで初めて本当に愛し合えた感のある二人。テッサが生きている間にあの熱い信念を共有できていたら・・って思いますが、テッサは命懸けでジャスティンを巻き込むまいとするだろうから、その展開はあり得ないんでしょうね。
それにしても、「世界中がアフリカを食い物にしている」ってセリフがありましたが、そのことを非道いと思っている自分も無知ゆえの罪があるんでしょうね。やりきれない気持ちです。

[497] >さえこさん

100人の村じゃないですが、そういう現状を知る努力をしないといけないんでしょうね。そういう点でも、こういう映画は貴重ですね。映画から教えられることって、いっぱいありますから。

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