男たちの大和 YAMATO

毎年、会社の取引の関係で、東映正月映画のチケット斡旋がある。一昨年は「半落ち」、去年は「北の零年」。期待するとかしないとか別に、1070円だから買った。公開初日、初回で観てきた。
この映画、まず最初に言っておくと、映画としては失敗作だ。ダラダラ長くて、途中眠かった。ていうか寝た。いつもなら眠るまいと歯を食いしばるところだけど、今回はガマンせずに軽く寝た。辛かったから。

流れを説明するのに、やたらと字幕に頼るのもいただけない。それは映画の仕事じゃない。映画なら映像で語るべきだ。あまりに安易すぎる。「覚悟を決めていた」なんて、表情でわかるようにしろよ。こういう映画は軽蔑します。

戦争映画でありながら、仲代達矢と鈴木京香のサブストーリーが長い。いつ終わるのかと思った。やたらと「北緯30度12分、東経128度4分」と口にするのも、かなりうざい。日常の会話で何回も言うかい? 強い意味があるのはわかったから、普通にやってちょうだい。

脚本も手がけた佐藤純彌監督だが、もう過去の人という気がする。昔は確かにいい映画を作った。「新幹線大爆破」なんて、いまだに邦画ナンバー1のパニック映画だと思うし。でもね、映画も進化してるのよ。語り口が明らかに古いのは、耐えられません。これが30年前の映画だったら、こんなこと言わないけど。

坊主憎けりゃじゃないけど、ここまで面白くないとタイトルまで文句つけたくなる。「男たちの大和」って何だ? いちいち言わなくても、誰も「女たちの大和かも」なんて思わんて。「男」ってのを前面に出されると、ちょっと引くよ、匂ってきそうな感じがして。主題歌が長渕剛ってのもね、なんかね。ファンにはたまらんのだろうけどさ。「オルゴール」にかつてない嫌悪感を抱いたイチ映画ファンには、これまたうざいだけ。勘弁して。

と、こき下ろしまくったのは、映画としての価値。一方でこの映画は、映画を超えていることを認めざるをえないのだ。

初日の初回で土曜日とはいえ、朝は早いし雪も降ってる。なのに、ちょっと小さめの劇場は、満員御礼状態。しかも、平均したら60歳ぐらいじゃないかと思われる客層。かすかな加齢臭漂う中での鑑賞だった。

オレがうんざりしている一方で、客席のあちこちから鼻をすする音が聞こえてくる。えーっ、これで泣くの?! 気づけば、隣の小柄なおじいちゃんも静かに泣いている。

戦争がテーマだから、それだけで涙腺緩む世代なのかもしれない。でも、それだけじゃないと思う。この映画の欠点と思われた部分は、実は、ふだん劇場に足を運ばないような彼らのために、周到に用意されたギミックの数々だったのだ。彼らにとって、この映画は古くない。自分たちが一番よく映画を観た時代の作品と、テンポも雰囲気も一緒なのだ。だから入り込みやすい。深読みせずとも映画についてこられるように、親切に出てくる字幕。「北緯~」も、何回も言わなきゃ忘れちゃうだろうから、何回も言わせたのだ。

ターゲットは60代以上。製作を開始した時から、そう決められたのだろう。そして、その方針に沿って、忠実に作られていったのだ。結果は大成功と言えるのではないか。

いくらオレみたいな戦争を知らない若造が「つまんねー」と言ったところで、それは想定の範囲内なのだろう。この映画は、団塊の世代およびそれ以前の観客を動員して、大ヒットすると思われます。でも、DVDは売れないだろうなー。

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Comment

[342]

Taoさん、はじめまして!
いつも楽しみに読ませてもらっています。
仕事柄、なかなか映画を観に行く暇がないので、
たまに期待して行ってハズレだった時のがっかり感・・・・。
なので、ここを見つけた時は嬉しかったです☆
Taoさんのコメがツボに入りました!
ちなみに私は主題歌が長渕剛の時点で観に行く気は無かったです。。。。

[343]

>知奈さん
はじめましてです。
いつもごひいきのようで、ありがとうございます。
これからもよろしくです。
長渕剛に主題歌を任せるセンスって、
一つのポイントですよね。
何とも思わないか、首をかしげるか。
観に行かないのも一つの選択肢だと思います。

[344]

初めまして・・・男たちの大和・・・全く同感です。アレだけ説明が入ると興ざめします。それに別れを描きたいのか?国を守る若者を描きたいのか、それともまだ生存している人の思いを描きたいのか?反町の活舌の悪さにびっくり・・何を言っているのか分からない・・・まだあの役は堤真一だったらと思いました。久々に映画館に行って期待はずれです。また辛口トークに期待しています。

[345]

>シャーミンさん
はじめましてです。
でもこの映画、なんか好評みたいですよ。
みんなの記事読むと、そう思います。
トラバいただいたら返すことにしてますが、
「こんなこきおろしレビューで返してもいいの?」と、
ちょっと心配になったりします。
テーマがいくら崇高でも、
映画として最低限やってほしいところを外されると、
やっぱり前向きな評価はムリですね、オレには。

[346]

こんばんは\(^o^)/
トラックバックありがとうございます。m(__)m
この作品は前半から涙が止まらないくらい流れてくる作品でした。二度と戦争が起こらない世の中になることを願いたいと思います。

[347]

>たやけんさん
コメントありがとうございます。
トラバのお返ししましたが、
こんな辛口記事でもよかったんでしょうか?
「泣きました」など絶賛してる記事には、
非常にお返ししづらいんですけど・・・
これからもよろしくお願いします。

[348]

おお、よくぞこの駄作の本質を突いてくれました。
出だしは昭和19年の大和艦上の筈なのに、25mm3連装機銃が甲板にズラズラ並んでいるいい加減さ。
これは昭和20年の沖縄特攻時の配置であり、19年ではない。超大作と称しながら制作費をケチったのが見え見えのセットである。作り変えるのがメンドーだったのでしょう。
だいたい大和は巡航時30㎞くらいの速度で走っている筈なのに、甲板上の乗組員の袖も襟も風になびいてない。したがって全然動いている様に見えない。
クライマックスの特攻シーンだって、護衛の駆逐艦は1隻も写らない。CGを作るのにお金がかかるからでしょう。これで“超大作”ですか。
アメリカ軍用機との戦いのシーンだって、25mm3連装機銃を撃ちまくる兵士をカットバックで写すだけで、大和が次第に傷つき弱っていくプロセスが全然描写されないから、さっぱり盛り上がりません。
昔の東宝製戦記映画を知っている者から見たら、お粗末としかいいようが無いですね。
佐藤監督も「新幹線大爆破」は素晴らしかったが、もうダメだなと思う。
ストーリーだって、過去の戦記映画で繰り返されたエピソードをなぞっているだけですね。感動どころかしらけっぱなしです。
こんな作品がキネマ旬報ベスト10に入ったり、感動したお客が多いというのは、ちょっと怖いです。
「シナリオ」1月号読むと、この映画の脚本は勝手に盗用された様な問題があるとか。
いずれにしろ感心しない映画でありました。

[349]

>特撮大好きおじさんさん
キネ旬で上位に入るのは、オレも解せないですね。
映画文法のレベルが低い映画は、
評価すべきじゃないと思います。
特撮のことはよくわかりませんが、
実寸大の大和は、相当金かかったみたいですよ。
だから、他にまわす金が足りなくなったのかもしれませんが。

[350]

TBありがとう。
この映画は、「大和」論でありながら、「倭」論であるという、そのメンタリティを確認するための映画のように思います。
「桜」にある情感を覚えざるをえないように、DNAのように刻み込まれた感性のような気がします。
「戦中派」というのは、大正生まれであり、もう戦争経験者、その記憶をとりだせる人というのは、本当に少なくなってきています。
けれど、どっかで、いまの子供たち、あるいは「宇宙船艦ヤマト」で育った世代にも、「家族」を通じて、おぼろげな記憶はあると思います。周囲の人に、聞こうとしても、僕なんかは身内がほとんど死んでいるので、特攻兵と結婚してわずか2週間で切り離され、身ごもった子供を育て上げたいま、80代半ばの伯母ぐらいですかね。
あうたびに、聞くようにしています。

[351]

>kimion20002000さん
この映画が言いたいことはわかります。
おっしゃるとおりだと思います。
こういう映画、これからも増えてきそうですね。

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