私の頭の中の消しゴム

これ、思ったよりあとにひきづる映画だ。観たあとしばらく、心のどこかにひっかかってる。ここまで腹にこたえるものとは思ってなかった。意外なヘビー級だ。
なぜか思い出したのは、ジョナサン・キャロルの小説だ。彼の作品も、基本的に前半は幸せな場面が続く。後半は、ダークな世界に突き落とされるんだけど、この幸せが永遠に続いてほしいと願わざるをえない。そうならないとわかってはいても。それくらい幸福の描写がうまい。
本作も、二人の出会いから結ばれるまでを、じっくり丹念に描いている。しかも、魅力的に。ソン・イェジン扮するスジンは、お茶目でチャーミングだし、チョン・ウソン扮する彼氏チョルスは、ワイルド&ジェントルマン。彼らを感情移入しやすい人物に仕上げただけで、この映画の8割方は成功したと言っていい。
「この酒を飲んだら恋人になる。飲まなかったら二度と会わない」なんて、一度言ってみたいよなー。そんで、ぐいっと飲まれた日には、そりゃすぐさまキスでもするって。男でも憧れるいいシーンだ。
ペプシの間違いやトランプを使った賭け遊び、バッティングセンターでのやりとりやコロンの香りなど、あとから重要になってくる思い出づくりも完璧。ここまで仕立てに時間をかけられたら、それだけで満足しそうになる。
圧巻は、ウェディングドレスを着たスジンが階段を降りてくるシーン。いつもクールなチョルスでさえ、思わず見とれてしまうくらい美しい。あれは、どんなことをしても結婚したいと思うね。「四月の雪」も参ったけど、今回はまさにTKO。降参です。白旗振ります。メディック呼びます。
二人を待ち受ける悲劇は、彼らが幸せであればあるほど、その辛さを増す。初めは軽い症状だったのが、徐々に大きく激しくなっていく。初めての愛妻弁当。まわりにちやほやされて、開けてみると二つの箱ともに白飯が入ってる。開ける前にわかっちゃったから、思わず劇場で「あっ!」って声出してしまいました。
それだって、その後に続く出来事に比べたら、ほんの序章。圧巻は、昔の不倫相手の名前で呼ばれて、「愛してる」と言われるシーンだ。あの辛さには、思わず映画を観ていることを忘れてしまった。こわばる笑顔で家を出て、ドアにもたれて顔を覆うチョルス。あれは感情移入なんてもんじゃない。完全に主役に同化してました。次の場面で主治医のフォローがなかったら、体のどこかがおかしくなりそうなくらい、胸が苦しくなった。
さらには、その元不倫相手が家に来て、ただでさえデリケートな状態の彼女に、無遠慮に迫っていく。記憶がめちゃくちゃで、苦しい思いをしたことも、別れたことも忘れちゃって、「ご飯食べる」なんて言ってるスジンが、もうかわいそうでかわいそうで。
なのに、このバカ男、まだヨリ戻そうと考えてる。大体、お前との関係が原因でストレス過多になって、アルツハイマーになったかもしれないんだぞ。いくら殴っても殴っても殴っても殴っても殴り足りんクズ野郎だ。チョルス、こんなヤツ殺してしまえ!と、かなりマジで思ったよ。
一番愛したチョルスのこともわからなくなったスジン。しかし、時おり戻るのね、大事な記憶が。予告編でも流れた手紙の朗読、辛かった・・・。「サランヘヨ」という言葉が、こんなに心に響いた韓国映画は「オールド・ボーイ」以来だ。いい言葉だな、サランヘヨって。
韓国のファミマで、出会いの場面を再現するクライマックス。登場人物が総登場して、スジンの記憶をよみがえらせる。正直、あれはやりすぎかなと思ったけど、聞けばあれが監督が初めから撮りたかったシーンらしい。まあ、よしとしよう。
記憶が戻った一瞬の間に、チョルスは言わずに後悔していた言葉をスジンに告げる。笑顔でチョルスに抱きつくスジン。走り去るジープ・・・。
決して明るくない未来が待ち受けている。これから起こるのは、悪い事の方が圧倒的に多いはず。けど、この二人ならもしかしたら・・・そんな淡い期待を感じさせるラストだった。観てよかった。
そのとおりと思ったら、ポチッ!
なぜか思い出したのは、ジョナサン・キャロルの小説だ。彼の作品も、基本的に前半は幸せな場面が続く。後半は、ダークな世界に突き落とされるんだけど、この幸せが永遠に続いてほしいと願わざるをえない。そうならないとわかってはいても。それくらい幸福の描写がうまい。
本作も、二人の出会いから結ばれるまでを、じっくり丹念に描いている。しかも、魅力的に。ソン・イェジン扮するスジンは、お茶目でチャーミングだし、チョン・ウソン扮する彼氏チョルスは、ワイルド&ジェントルマン。彼らを感情移入しやすい人物に仕上げただけで、この映画の8割方は成功したと言っていい。
「この酒を飲んだら恋人になる。飲まなかったら二度と会わない」なんて、一度言ってみたいよなー。そんで、ぐいっと飲まれた日には、そりゃすぐさまキスでもするって。男でも憧れるいいシーンだ。
ペプシの間違いやトランプを使った賭け遊び、バッティングセンターでのやりとりやコロンの香りなど、あとから重要になってくる思い出づくりも完璧。ここまで仕立てに時間をかけられたら、それだけで満足しそうになる。
圧巻は、ウェディングドレスを着たスジンが階段を降りてくるシーン。いつもクールなチョルスでさえ、思わず見とれてしまうくらい美しい。あれは、どんなことをしても結婚したいと思うね。「四月の雪」も参ったけど、今回はまさにTKO。降参です。白旗振ります。メディック呼びます。
二人を待ち受ける悲劇は、彼らが幸せであればあるほど、その辛さを増す。初めは軽い症状だったのが、徐々に大きく激しくなっていく。初めての愛妻弁当。まわりにちやほやされて、開けてみると二つの箱ともに白飯が入ってる。開ける前にわかっちゃったから、思わず劇場で「あっ!」って声出してしまいました。
それだって、その後に続く出来事に比べたら、ほんの序章。圧巻は、昔の不倫相手の名前で呼ばれて、「愛してる」と言われるシーンだ。あの辛さには、思わず映画を観ていることを忘れてしまった。こわばる笑顔で家を出て、ドアにもたれて顔を覆うチョルス。あれは感情移入なんてもんじゃない。完全に主役に同化してました。次の場面で主治医のフォローがなかったら、体のどこかがおかしくなりそうなくらい、胸が苦しくなった。
さらには、その元不倫相手が家に来て、ただでさえデリケートな状態の彼女に、無遠慮に迫っていく。記憶がめちゃくちゃで、苦しい思いをしたことも、別れたことも忘れちゃって、「ご飯食べる」なんて言ってるスジンが、もうかわいそうでかわいそうで。
なのに、このバカ男、まだヨリ戻そうと考えてる。大体、お前との関係が原因でストレス過多になって、アルツハイマーになったかもしれないんだぞ。いくら殴っても殴っても殴っても殴っても殴り足りんクズ野郎だ。チョルス、こんなヤツ殺してしまえ!と、かなりマジで思ったよ。
一番愛したチョルスのこともわからなくなったスジン。しかし、時おり戻るのね、大事な記憶が。予告編でも流れた手紙の朗読、辛かった・・・。「サランヘヨ」という言葉が、こんなに心に響いた韓国映画は「オールド・ボーイ」以来だ。いい言葉だな、サランヘヨって。
韓国のファミマで、出会いの場面を再現するクライマックス。登場人物が総登場して、スジンの記憶をよみがえらせる。正直、あれはやりすぎかなと思ったけど、聞けばあれが監督が初めから撮りたかったシーンらしい。まあ、よしとしよう。
記憶が戻った一瞬の間に、チョルスは言わずに後悔していた言葉をスジンに告げる。笑顔でチョルスに抱きつくスジン。走り去るジープ・・・。
決して明るくない未来が待ち受けている。これから起こるのは、悪い事の方が圧倒的に多いはず。けど、この二人ならもしかしたら・・・そんな淡い期待を感じさせるラストだった。観てよかった。
そのとおりと思ったら、ポチッ!

Comment
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>たやけんさん
「デイジー」って、韓国映画として、
一番高い値段で買われたんですよね。
だから、ヒットしないと大損。
これからものすごい宣伝がされてくると思います。
ジヒョンの映画は、何もなくても観に行くと思いますけどね(笑)
「デイジー」って、韓国映画として、
一番高い値段で買われたんですよね。
だから、ヒットしないと大損。
これからものすごい宣伝がされてくると思います。
ジヒョンの映画は、何もなくても観に行くと思いますけどね(笑)
[263]
こんにちは\(^o^)/
トラックバックありがとうございます。m(__)m
そうですね~(^_^)
私もジヒョンさんの作品は何もなくても行きます。^_^;
ただ、本音を言いますと、ヒットして欲しいと思うと同時に、かき入れどきでなくてもいいから、とにかく早く観たいという気持ちがあります。^_^;
トラックバックありがとうございます。m(__)m
そうですね~(^_^)
私もジヒョンさんの作品は何もなくても行きます。^_^;
ただ、本音を言いますと、ヒットして欲しいと思うと同時に、かき入れどきでなくてもいいから、とにかく早く観たいという気持ちがあります。^_^;
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>たやけんさん
オレも早く観たいです!<デイジー
ただ、今はソン・イェジンの方が好きかなー。
「ナンパの定石」ではコミカルな役に挑戦してるそうで、
こっちを早く公開していただきたい!
オレも早く観たいです!<デイジー
ただ、今はソン・イェジンの方が好きかなー。
「ナンパの定石」ではコミカルな役に挑戦してるそうで、
こっちを早く公開していただきたい!
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「韓国映画を楽しみましょう」の管理人の「たやけん」と申します。m(__)m
「私の頭の中の消しゴム」は何度も繰り返してみたくなる作品ですね~(^_^)
ウソンさんの次の主演作品、チョン・ジヒョンさんと共演の「デイジー」も楽しみです。(^_-)-☆