大統領の理髪師

昨日の「南極日誌」に続いて、ソン・ガンホ連チャンだ。札幌・蠍座で鑑賞。
昨日の重厚沈鬱な演技とは打って変わって、こちらは田舎の素朴な床屋の親父。これがまたうまいんだ。ちょっと頭は弱いけど、性格は温厚、誠実、そしてスケベ(笑)。彼の場合、どの映画を観ても、はまり役に見えるから不思議だ。

とにかく笑わされた。ギャグも面白いし、彼の間の取り方も絶妙。笑いって本当に難しい。ここまで面白いのは、作り手に才能があるからに他ならない。脚本兼監督のイム・チャンサン、これがデビュー作だってんだから、恐れ入る。この名前は覚えてなければなるまい。

でも、決して単純なコメディじゃないのよ。庶民のつつましやかな生活の中に、自然に笑いがなじんでいる、とでも言おうか。昔の日本映画のテイストで、笑いを進化させたらこうなった、と言い換えてもいい。このセンスは抜群だ。

そして、笑いの中に、シリアスな歴史が組み込まれている。あの時代を生きた人々は、自分の人生を振り返って、「そうそう、こんな感じだった」と回想できるようになっている。不正が平気でまかり通る選挙、学生運動、ベトナム戦争への協力、北朝鮮兵士の侵攻(これって「シルミド」の冒頭の場面?)、馬鹿馬鹿しい赤狩り、大統領の暗殺と軍事政権の台頭、などなど。笑える四捨五入の話が、日本への嫌悪とつながるエピソードには、韓国のナマの日本観が垣間見えた。映画的には秀逸だが、日本人的には複雑な気持ちを感じました。

ソン・ガンホ以外のキャストも絶妙。妻のミンジャの俗物ぶりに「あーいるいる、こんな女」と激しく同意し、息子のナガンの自然な笑顔に和まされる。床屋の弟子も、町の仲間たちも、大統領も、その側近たちも、みんな個性があって、それぞれの人生を生きているのが感じられる。そのアンサンブルに、2時間ずっと引き込まれていた。

大して期待もしていなくて、「途中眠かったらどうしよう」なんて心配していたけど、そんなのまったくの杞憂。思わず笑顔になってしまうラストを眺めつつ、まだ終わってほしくないと思っていた。これだから韓国映画はあなどれない。間違いなく、これは名作だ。

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Comment

[234]

 この映画は日本人が見てると、ジョークがジョークじゃない時があって、ドキッとさせられます。
 
 隣の国の近代史なのにほとんど知らない自分にビックリし、あっち(韓国)からこっち(日本)を見たら、もっと分からんのだろうなぁ。と歴史認識や外交の難しさを考えてしまいました。

[235]

>know_the_baseさん
確かに知りませんね、韓国の歴史。学校じゃ教えませんものね。
逆に、向こうはよく教えてるんじゃないですか?自分たちに都合がいいように誇張して。今回の竹島問題にしても、そういう感じがします。物心のつかない子供に、恨の精神を植えつける教育は、個人的にまったく理解できません。
映画は面白かったですよ。

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