姑獲鳥の夏

去年の今頃、ちょっと入院してて、その間に原作を読んだ。ものすごくぶ厚いんだけど、一気に読んじまった。続けて2作目にも手をつけたぐらい。でも、映画化は難しいだろうと思っていた。理由は3つ。
この小説の醍醐味は、京極堂の圧倒的な薀蓄の披露にある。初めは「何言ってんだ?」と思うけど、いつのまにかとんでもない話を納得させられている。これをセリフで表現したところで、映画としては単調になっちゃうんじゃないのか?小説なら、途中で自由に休めるけど、映画はどんどん進んでいくからね。しかも膨大な量だから、尺の大半を使ってしまいかねない。かといって少なくしたら意味がない。脚本は大変だぞ。

さらに、この事件の肝ともいえる牧朗の死体の謎は、小説でも賛否両論だった。オレも思ったよ、「そんなことないべー」って。これを実写にしたら、もっとわけわかんなくなるんじゃないか。でも、あれをはずすわけにはいかないし。演出は大変だぞ。

そして最後は、京極堂のキャラだ。名前からしてもそうだが、原作者以外のイメージがわかんのよ。堤真一?ちょっといい男すぎないか?あんまりうさんくさくないし。主役は大変だぞ。

そんな心配を胸に観始めた。結局のところ、原作を読んでいる人間としては、物足りないところもあったけど、こんなもんかなーという気もする。

薀蓄については、あの尺ならあんなもんでしょう。必要な話はちゃんと入ってる。あれ以上を望むなら、ディレクターズカットしかない。でも眠くなるだろうな。実際、うつらうつらした場面あったし。

驚愕のネタは、無難に流された感じ。脚本家も、これがポイントだと認識していたらしく、冒頭から伏線張りまくりだ。あれだけ関口君に幻覚見せてたら、死体が見えていなくても不思議はない。でもあれはちょっとずるい。だって、なんか病気だから見えなかったみたいじゃん。違うよね。人は見たくない物を見ないという、誰にでも起こりうる(?)話なんだから。

堤真一については、やはり京極夏彦と比べたら見劣りするわ。これはしょうがないね。あの雰囲気にはかなわない。せめて眼鏡ぐらいかけたらよかったのに。

実相寺監督の演出ぶりは、正直微妙だ。斜めからの視点で、不安な気持ちにさせるのはうまいんだけど、実験的な手法がどうもうまく絡んでない。あの月のこまかい説明は何?スポットライトも画面を安っぽく見せるだけ。テンポもいいとは言えない。幻想的な画を作ろうとしてるんだろうけど、「この世に不思議なことなど何もない」のだから、全編リアルにした方が逆に効果があったんじゃないのかな。

京極堂以外のキャストでは、原田知世が出色。うっとりするほどの美しさだ。まあ、デビュー時からのファンだから、ひいき目にしか見れないんだけど。あらためてダンナがうらやましくなった。えーと、誰だっけ?(笑)

だらしなくて情けない関口君。大して役に立たないくせに、中途半端な正義感を振りかざして、結局事件を大きくして、悲惨な結末を迎える。原作では見事なくらいのダメキャラだったけど、永瀬が演じちゃうと、あれれ?ちょっとカッコよくないか?まあ、気になるほどじゃなかったが。

繊細な豪傑、榎木津。これ阿部寛ぴったりだね。もっと見せ場があってもよかった。彼の活躍は爽快なんだから。一方、宮迫の木場修はちょっとキャラが小さくなっちゃったかな。もっとごつくてブサイクじゃないと、「魍魎の匣」で困ると思うんだけど。

映画化が難しい原作だから、予想通り、出来はいいとは言い切れない。でも、頑張ったのかなーとも思うんで、あんまりけなさないでおきます。お疲れ様でした、みなさん。

<おまけ>
原作者が傷痍軍人の格好でちょこちょこ出てたのは気づいたけど、あれが水木しげるとはね。「ゲゲゲの鬼太郎」は紙芝居がヒントだったのか。へー。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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