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エレファント

カンヌでパルムドールを獲った、衝撃の事件の映画化とくれば、期待しないわけには行かない。DVD借りてきた。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」によって、事件の概要はわかってるし、その背景もマイケル・ムーアに吹き込まれている。あの事件をどう映画化したのか。予告編は静かで淡々としている。どこにでもある高校の穏やかな日常を切り取って、惨劇とのコントラストを鮮やかにしようという目論見だろう。

果たしてその予想は当たったわけだが、実はちょっと複雑な気持ちになった。

脚本は方向性を示すだけで、セリフはすべてアドリブ。オーディションで選ばれた出演者たちの自然な姿を捉えられるように、カメラワークも入念にリハーサルされていた。DVDの特典映像を見ると、とても実験的な撮影だったことがわかる。「観た人それぞれが判断してほしい」。これが監督の考えだ。

その瞬間に向かう当事者ひとりひとりに焦点を合わせて、話は進む。彼らが交われば、同じ場面が違う視点で何度も描かれる。この構成がトリッキーなだけで、それ以外はまさにセミドキュメンタリー。監督のメッセージなんて、まったくない。

これは「ボウリング・フォー・コロンバイン」の対極を行く作品だ。あっちが主張や誇張のオンパレードなら、こっちは「何も言わん。ただ起こったことを見て、そして考えろ」という放置プレイ。この「すべてを観客に委ねる」やり方に、実は疑問を持ってしまったのよ。

監督はあの事件に衝撃を受けて、いつか映画にしたいと考えていたらしい。では監督自身は、あの事件をどう感じて、何を思ったんだろう。きっと爆発するような感情があるに違いない。だからこそ「映画にしたい!」と欲したはずだ。なのに映画化に際しては、それを表に出さない。「映画にしたい!」と思うほどの強い気持ちを押し殺しながら、監督は撮影してたのか?

なんか変だ。フィルムメイカーはそれをフィルムに焼きつけたくて、映画を撮るんじゃないの?それが唯一の情熱や原動力なんじゃないの?それをあえて全部抑える必要があるの?「すべてを観客に委ねる」と言えば聞こえはいいが、本当はどうなの?オレも考えるけど、そういうアンタはどういう考えなの?

邪推すれば、本当は強い思いや深い考えなんかなくて、「これを映画にすれば話題なるだろう」って思ってたんじゃないのか。そうだとすれば、純粋な製作動機では全然ない。無鉄砲で攻撃的でパワフルなムーアの方が、この事件のことを何倍も真剣に考えてるように思う。勘ぐりすぎかもしれないけど、そう感じたんだから仕方ない。

この映画にあるのは、事件のそのものの衝撃性だけで、映画としての存在価値があるようには思えない。だって、事件以外のものがないのだから。もしも「すべて観客に委ねる」のなら、この方法でなくていい。真面目に作った、普通のドキュメンタリーで十分だ。

もしかしたら、あの突撃電波男に毒されてるのかもしれない。こういう実話映画に難ぐせつけること自体、なんだかタブーを犯してるような気がする。ましてや、世界的な名誉に輝いた作品だ。こんな感想に同意する人など皆無だろう。でも、これが「正直れびゅ」だ。オレは自分の正直な思いを、押し殺したくはない。

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Comment

[171]

僕は「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見てから、こっちを見ました。
犯人の男の子達が銃を手に入れる経緯や、自分家の納屋で銃の試し撃ちをする辺りで、ムーアの言ってたヤバさをひしひし感じました。
その犯人の男の子が弾く「エリーゼのために」が綺麗でまた切ない。
僕は監督の考えがどうこうってのより、切なくなった自分の感情と向き合うほうで精一杯でした。

[172]

>know_the_baseさん
この映画は、know_the_baseさんの感想が、
世の一般的な評価なんでしょうね。
オレも映画には感動したいので、
感動できた人は素直にうらやましいです。

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Author:Tao
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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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