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ミリオンダラー・ベイビー

イーストウッドの映画なら、アカデミー賞を取ろうが取るまいが関係ない。キャストもしぶいし、期待しない理由が皆無。レイトで観てきた。
イーストウッド、モーガン・フリーマン、ヒラリー・スワンクの、3人の魂の演技のアンサンブルが、観ていて心地よく、胸を熱くする。セリフのひとつひとつに優しい愛情を感じる。これは、ジャズの即興のように、俳優たちの一瞬のきらめきを大切にする、イーストウッドの演出力によるものだろう。

ボクシングを愛するも、スクラップの失明を止められなかった負い目を感じて、積極的な勝負に出られない老トレーナー、フランキー。頑固でへそ曲がり、朝令暮改は当たり前の、一見とっつきにくいじいさん。でも、心の奥はあったかく、すぐ泣いたり笑ったりする。

思えばイーストウッドって、刑事かガンマンが多くて、肩肘はらないキャラってあんまり記憶にない。だからフランキーのような、等身大のおじいさん役は新鮮だった。貫禄はいつもの半分だけど、味わいは何倍も深い。

そんな、ある意味新境地のイーストウッドを相手に、静かに受けの演技を見せるフリーマン。いつもでしゃばらず、フランキーの女房役に徹するスクラップは、ナレーションやってるぐらいだから、すべてお見通し。彼がいるからこそ、フランキーはフランキーでいられるし、間違った道を進まずに済んでいる。

だからといって、スクラップだってすっかり火が消えてしまったわけじゃない。マギーの懸命さに心打たれ陰に日向に応援したり、やられっぱなしのデンジャーを助けて110回目の試合に勝ったり。自分の役割をわかっている男、それがスクラップだ。フリーマン以外では想像できない。抑制された演技は見事だった。

そして、この映画の成功の鍵を握るのがマギーだ。ボクシングを取ったら何も残らないことを誰よりもわかっていて、その夢にすべてを賭ける。フランキーのジムで勝手に練習しだした頃は、素人目に見てもダメダメだったのに、フランキーの訓練を受けて見る見る強くなっていく。筋肉もどんどんついていく。ヒラリー・スワンク、やっぱただもんじゃない。あの役作りには舌を巻いた。

もちろん、単なる筋肉女じゃない。いつも夢に眼を輝かせ、フランキーに軽口を叩きながらも、尊敬の念を持って厳しいトレーニングについていく。どぐされ家族にがっかりしながらも、決して希望は捨てない。自分には命を賭けるに値するものがあるとばかりに、前向きに進んでいく。その明るさ、ポジティブな姿は、観ていて本当に気持ちいい。

そんな彼女が、驚異的な強さでタイトルへの階段を駆け上っていくさまは、「ロッキー」以上に興奮した。入れ込み具合がハンパじゃないのだ。だって、彼女にはそれしかないんだから。

そんな風に盛り上がれば盛り上がるほど、後半の辛さは胸を刺し貫く。お互い家族と疎遠になり、寄り添うように病室で向かい合う二人。フランキーは死ぬまでマギーの面倒を見ようと思っていただろう。でも、マギーには耐えられなかった。末節が汚れていくように感じた。人生をいい時のまま終えたかった。だから、一番信頼するフランキーに、究極のお願いをしたのだ。

マギーの願いを届けいれ、呼吸器をはずすその前に、フランキーは「モ・クシュラ」の意味を教える。フランキーにとって、彼女は「モ・クシュラ」だった。家族よりも強い血の絆を、彼女に感じていた。その彼女を死なせなきゃいけない辛さ。たまらんね。

でもその意味は、勝たなきゃ教えない約束だった。死の寸前、マギーは人生に勝ったのだ。ボクシングにすべて賭けて、そして満足のいく結果を得られたから。だから彼女は、最後に微笑む。フランキーの深い深い愛情を感じながら。死の間際で、最高の幸せに浸っていたに違いない。

いつものように、思ったまんまの感想を書こうと思ったが、全然言葉が見当たらない。うまく表現できない。だから趣向を変えて、登場人物の心情を追ってみた。これだって、1回観ただけの感想だ。これから何度も観て、さらに深みにはまってみたい。エンドクレジットが終わって、劇場が明るくなっても立ち上がれなかった、あの感動をまた味わってみたい。名作が、ここに誕生した。

そのとおりと思ったら、ポチッ!

Comment

[102]

僕は、ラスト近くのシーン、教会の中で牧師さんと
フランキーが会話してるシーンで涙腺が決壊し
そうになりました。
人とは、いろんなところで繋がってるんですね!

[103]

>はっちさん
あの場面もぐっと来ますね。
たとえ神にそむくことであったとしても、
あれをできるのは自分しかいない。
止められるのはわかってるけど・・・
苦悩するイーストウッドの表情、
観ていてため息が出ました。

[104]

はじめまして。
とてもうまく感想が書けていると思います。
ヒラリー・スワン、演技よかったですよね。
ヒラリーの今まで出た映画はそんなに印象に残っていなかったけど、この演技は一生忘れないかも!
また遊びに来ます。

[105]

>lafouleさん
おほめていただき恐縮です。ありがとうございます。
ヒラリーって、顔がごつくて、
決してもてるタイプじゃないですよね(笑)
でも、劇中に見せる笑顔は最高です。
ホントに輝いて見えました。
「ボーイズ・ドント・クライ」は衝撃的だったけど、
こちらはもっと上のレベルの演技だと思いましたよ。
ぜひぜひまたまた遊びに来てください。
カギあいてますので(笑)

[106]

はじめまして!
私ももう何度か、この作品を観ることになるだろうと思います。
初回の感想として私は、この作品に 『 あしたのジョー 』 を見ました(笑)
ヒラリー・スワンクに矢吹丈を見たのです(苦笑)
とっても感動したので、家にあった 『 あしたのジョー 』 読み返しちゃいました!
またお邪魔しますね!

[107]

>Ixionさん
Ixionさんのレビュー読みました。
なるほど、ジョーだわ(笑)
ボクシングって、本当に命かけてるスポーツだから、
人の生死が絡みやすいんでしょうね。
また遊びにきてくらはいね!

[108]

「クローサー」に続き、こちらもT/Bさせて頂きました。
>だから彼女は、最後に微笑む。フランキーの深い深い愛情を感じながら。死の間際で、最高の幸せに浸っていたに違いない。
そうですね、Taoさんのおっしゃるとおり、あの瞬間は幸せの絶頂たっだに違いないと思います。
それにしても、痛い映画でした。鼻もイタカッたし、心も・・・。でも、私、また観たいと思います。

[109]

>Carolitaさん
あの鼻、マジ痛そうでしたね。
鼻の骨って、すぐに折れちゃうらしいですよ。
マギーのように太くて短い人生って、
あこがれるけどマネできないですよね。
だからこそ、輝いて見えて、
うらやましいんですけどね。

[110]

まさに名作が誕生しましたね。重く暗い映画ですが、単なるボクシング映画ではなく、人生を考えさせられる映画になっていました。主要3人の演技がすごく、文句なしでお勧めの1本です。

[111]

>ももママさん
ホント名作だと思います。
ちょっと地味めな作品だけど、
アカデミー賞もちゃんと見てるもんですね(笑)
あの年で、精力的にすごい映画を作り続ける
イーストウッドにひたすら感謝!の毎日です。

[112]

どうもです。
僕も先日観てきました。
本当に素晴らしい作品でしたね。
クリント・イーストウッドが手掛けた音楽が予想以上の素晴らしさで驚いてしまいました。
これからもあの3人には期待してます!
TBさせて頂きます。

[113]

>sinさん
お世話になってます(笑)
あの音楽、シンプルで力強くて、聴いてて心地いいです。
イーストウッドって、ホントに才人ですね。

[114]

>Taoさん
いえいえこちらこそいつもありがとうございます。
イーストウッドが前から音楽を手掛けたりしてるのは知ってたのですが、正直何とも思ってなかったんですよ。
でもこの作品の音楽は心に沁みましたね。
イーストウッドやモーガン・フリーマンの演技同様、円熟した者にしか出せない良い意味での枯れが程よくあってとても作品に合ってました。
イーストウッドを見直してしまいましたね。

[115]

>sinさん
イーストウッドとフリーマンが組めば、
アカデミー賞確率100%ですからね。
「許されざる者」また観てみようかな、
と思う今日この頃です。

[116]

TB返していただきありがとうございました。
クラッシュを見る前に見なくては・・・と思ってみたらこんな展開とは・・・
こんな愛の形もある、そう思えました。

[117]

>カオリさん
こちらこそありがとうございます。
「クラッシュ」の前に観られてよかったですね。
ポール・ハギスの名脚本+イーストウッドの名演出が名作を産んだんだと思います。

[641] 『ミリオンダラー・ムービー』

初めまして、達也です。
『ミリオンダラー・ベイビー』を観てしまいました。
あまりの素晴らしさに、しばし放心状態です。
それにしても、3人の演技と監督クリントの
志の高さに拍手です。
最後に明かされる『モ・クシュラ』の言葉に
救われます。
この映画、正に『ミリオンダラー・ムービー』です。

P.S トラバさせてくださいね

[642] >TATSUYAさん

3人の演技のアンサンブル、よかったですね。名作だと思います。

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『ミリオンダラー・ベイビー』は、ミリオンダラー・ムービーだ。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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