情婦

このブログ、ネタバレ全開で、まだ観てない人が読んでも責任持てないのが基本。でもこの映画は、ラストに「言うな」と警告が出る。無視して感想書いてもいいんだけど、いい体験をさせてもらった映画には誠実でありたい。だから、今回はネタバレなしで行きます。
基本的には、アガサ・クリスティ原作の戯曲が優れてるんだろう。裁判の常識を逆手に取った、絶妙のアイディアだ。場面転換が少なく、舞台で観ても面白そう。

でも、この映画が名作なのは、ストーリーだけじゃない。さすがビリー・ワイルダー、見事な脚本なのよ。その魅力的なキャラクター像は、原作だけの功労じゃないはず。一見とっつきにくそうな老練弁護士、無実を必死で訴える被告、冷徹で何を考えてるかわからない被告の妻。そして最高なのが、弁護士を甲斐甲斐しく面倒見る看護婦。あれは原作にはないに違いない。一級の法定サスペンスに、違和感なく人情味を盛り込ませる、ワイルダー監督の手腕に脱帽である。

そうは言っても、一筋縄ではいかないキャラたち。彼らに血を通わせたキャストには、賞賛を贈らずにいられない。チャールズ・ロートンとエルザ・ランチェスターの二人は、その年のアカデミー賞にもノミネートされた。授賞してもおかしくない名演技だった。ディートリッヒの、刃物のような鋭さと美しさも絶賛に値する。タイロン・パワーもまたしかり。一番簡単な役に見えるんだけど、決してそんなことはない。

個人的には、先日観た「透明人間」でもうるさかったウナ・オコナーが、持ち味120%発揮してたのが嬉しかった。彼女はああでないとね。

ところでこの「情婦」なるタイトル、よ~く考えると問題がある。味わいある意訳だけど、ここは原題通り、「検察側の証人」にすべきではなかったか。公開から半世紀近くもたってから言っても意味ないけど。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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