ステキな金縛り

「三谷幸喜の最高傑作」という売り文句に惹かれて、
公開初日「ツレうつ」鑑賞後に窓口に並んだ。
でもほぼ満席で、いい席がなくて諦めたのよ。
マネーボール」に続いて、イオンシネマのレイトで観てきた。
幽霊を裁判の証人として喚問するという、
いかにも三谷監督が考え出しそうなアイディア。
キャプラ監督の「スミス都へ行く」と
「素晴らしき哉、人生!」が劇中に登場するのは、
ちょっとストレートすぎないか?

でも、かの大監督の作品がことごとく大好きな自分としては、
いろいろ気になる点があったとしても、ついつい点数が甘くなってしまう。
舞台っぽい雰囲気や、スイートすぎるエンディングも、
他の監督なら眉をしかめるところだが、三谷監督なら許してしまう。
だって、これが三谷ワールドなんだものね。

三谷映画の見どころは、ストーリーよりも豪華な出演陣にある。
本作で一番笑ったのは、やはり西田敏行だ。
現代かぶれしたお茶目な落ち武者幽霊役なんて、彼にしか演じられないよ。
そのなりきりっぷりは、もうさすがというしかない。
三谷作品でいつも重要なパートを受け持つ彼だが、今までで一番大きな役だった。
いやあ、笑わせてもらいました。

落ち武者六兵衛に賭けるダメダメ弁護士の深っちゃん。
今や「『悪人』の…」という肩書きの方が強いけど、
こういうかわいい役の方が魅力的だな。
とても38には見えません。
彼女のコメディ演技を、もっともっと観てみたい。

深っちゃんの上司を演じたのが阿部寛。
三谷作品初参加だと思うが、まさか途中で死んじゃうとは。
しかもそれが、深っちゃんが天国の番人に手紙を渡すためという、
咬ませ犬的な役どころだから驚いた。
ずいぶんと贅沢な使い方するもんだね。

深っちゃんと敵対する検事は、いかにも堅物な中井貴一だ。
だけど彼もコミカルな演技はうまいのよね。
死んだ愛犬とたわむれるシーンは、思わず爆笑してしまったもの。
あのギャップがいいんだろうな。

チョイ役もゴージャスで印象に残る人が多い。
市村正親にやらせたエセ陰陽師はすごいわ。
いいとこなんにもないあんな役に、よくあんな大物をねえ。
夫婦で出演の篠原涼子の金髪女は、
絶対「THE 有頂天ホテル」のコールガールだよね。
あのハマリ役を思い出して、ニンマリした。

三谷作品のレギュラーになってきた佐藤浩市。
今回も「ザ・マジックアワー」に引き続き俳優という設定で登場する。
もしかしてと調べてみたら、やっぱり同じ役名だった。
こういうお遊びも楽しいね。

エンドクレジットに出てきた大泉洋。
あれ?本編に出てたっけ? カットされちゃったのかな。
これまたあとで調べると、別番組のロケで撮影現場に行った大泉が、
急遽出演を果たしたらしいのだが、TV局の系列が違くて問題になったみたい。
そりゃそうだ。北海道ローカルの「おにぎりあたためますか?」って、
あれHTB(テレ朝系)だもんな。大胆なことするわ。
最後に顔出せただけでもよかったですな、洋ちゃん。

実のところ、彼の最高傑作「THE 有頂天ホテル」を超えてはいない。
あの「グランドホテル」映画の完成度は、期待以上に高かったから。
本作は、「あれを超えないぐらいだろう」という期待通りの出来だった。

でも観ている間は楽しかったし、期待通りの時間を過ごさせてくれた。
三谷ワールドはまだまだ健在だ。
これからも何年かに1度、
映画の楽しさを味わうひとときをプレゼントしてくださいな。

<おまけ>
昔、実家の地元の劇場では、しょっちゅう途中でフィルムが止まる事故が起きた。
あまりにしょっちゅうなので、怒る気にもなれなかった。
でもそれは昭和の話。
シネコン全盛の昨今、そんなアクシデントが起きるとは思わなかった。

それが、本作鑑賞中に起きたのよ。
いやあ、あまりに久しぶりでびっくりした。
六兵衛がファミレスで料理を前にする場面で、突然スクリーンが真っ暗に。
そのまましばらく音沙汰なし。
数分後、スタッフがお詫びのコメントを述べ、
さらに数分待機させられた後、映像が再開した。

ただ、再開した途端にファミレスのシーンが終わっちゃって、
前後がちゃんとつながっていなかった。これはいただけない。
せめて少し前にさかのぼって再開してくれなきゃ。
あとでもう1回出てきた「ジュースをストローでぶくぶく」シーン、
あれ完全にカットされてたからね。

大事な伏線を飛ばされて、ご機嫌斜めのオレ。
退席時にお詫びの無料招待券を配ってたから、
仕方なくそれを黙って受け取って出た。
でも結局、カットされた数分間のシーンを観ることはできなかった。

劇場としてはあれ以上の誠意を見せることはできないのだろうから、
オレもやむなく矛を収めたんだが、書きたいのはそこではない。
チケットをもらう際、
「ありがとう」と感謝して喜んで劇場を出て行くおばさんたちがいたことだ。

あのおばさんたちにすれば、
不機嫌に出て行くオレは「タダ券くれてるのに感じ悪い」と思うんだろう。
でもオレに言わせれば、あの招待券もらって喜ぶのは、
映画をちゃんと観てない人たちだ。
観られなかった数分がどんなに重要な場面だったとしても、
それはどうだってよくて、それよりもタダ券もらえた方がうれしいのだ。

ああいう人たちは、映画の最中に平気でトイレに立つし、
携帯のメールの方が気になったりする。
それで大事なシーンを見逃しても、
劇場を出るときには映画を観た気でいるんでしょう。
いっちょまえに辛口批評したりするんでしょう。
そしてすぐに忘れるんでしょう。

もちろん、そんな人の方が大多数だというのはわかってる。
1分1秒だって見逃したくなくて、
スクリーンをじっと凝視し続けるマニアックなオレの方が、
特異な考えの持ち主なんだろう。

でも、それでも、タダ券もらって「わあ」って喜ぶのは、
映画ファンとして許容できない。
間違いなくこちらは被害を被ったのだ。
それを被害と認識できない人は、
わざわざ劇場に映画観に来なくてもいいんじゃないの?

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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