ハンサム★スーツ

Gyaoでの無料視聴が今日までというので鑑賞した。
劇場公開時は全然食指が動かなかった。だって「ハンサム・スーツ」だよ。ドラえもんの道具ならわかるけど、いい大人がそろって実写でやるような話かい? これにお金を払うなら他の映画を観に行くわ。そう思ったのだ。(ドラえもんをバカにしてるわけではないので念のため)

出演者がテレビ顔ばかりなのも、劇場で観る価値を感じなかった理由のひとつ。さらには脚本が鈴木おさむだ。才能ある放送作家なのは認めるけど、テレビの感覚を映画に持ち込まれるのはイヤなのよ。だから全く興味がわかなかった。

パソコンの画面で無料で観るなら、上記のような問題は何もない。面白いに越したことはないし、駄作ならこのブログでいろいろ書ける。というわけで、Gyaoでの視聴となった。

結論から言うと、これがなかなか面白かったのよ。懸念材料の一部は当たっていたし、これを劇場で観たなら、けちょんけちょんにけなしたかもしれない。でも無料なんだから、そこまで言う必要も感じない。なので、基本的に賞賛のレビューになる。

一番褒めたいのは、「今の自分よりも、ハンサムな人生を選ぶか否か」というテーマについて、意外にも真剣に考えさせられるところだ。

主役の琢郎を演じる塚地は、確かに見事なまでのブサイク顔だ。すっかりテレビで見慣れてるので普通に芸能人と今は思うが、まったく知らないであの顔を見たら驚くよね。一方、スーツ着用後のハンサム役は谷原章介だ。彼がハンサムかどうかは人の好みだろうが、目鼻立ちが整っているのは事実で、同性としても羨ましいマスクであることは認めざるを得ない。

彼ら二人の人生を比べれば、そりゃ違って当然だ。どっちが多くいい思いをしたかだって、考えなくともわかる。「人間は中身だ」とはよく言うけど、「外見がダメなら、中身にも興味を持ってもらえない」という琢郎の叫びの方が真実だろう。

今一般的にハンサムと言われている芸能人顔になれるとしたら、そりゃなりたいよね。間違いなくモテるだろうし、そういう思いをしたことがないんだから。琢郎が光山杏仁ライフにハマるのは当然だ。ある意味、麻薬みたいなもんだろう。

でも、完全に人生を変えるかと言われれば、それは悩む。今ある自分と、その自分を作ってきた歴史、そして今の自分を支えてくれている人々をすべて捨てることになるのだから。

今の人生に絶望しているなら、新しい方を選ぶのは容易だ。よりよい人生を送ることが保障されているようなものだから。でもそうじゃない人は? 二つの人生を天秤にかけたら、ゆらゆら揺れるような普通の人は? きっと琢郎と同じ選択をするはずだ。人はそんなに物事をドライに割り切れない。だって、義理と人情で生きてるんだからね。

低レベルな映画だと、先入観を持っていた自分が恥ずかしい。なかなか深いテーマじゃないか。あらためて鈴木おさむの仕事には敬意を表したい。あんたはさすがだ。

塚地の演技力が高いのはわかっていたが、谷原があんなにコミカルに動き回れるなんて知らなかった。いい男はなんでもできるんだね。逆に嫉妬してしまうわ。

北川景子はきついキャラが似合うと思うので、あんなにストレートにいい子だと逆にリアリティがない。「こんなにかわいくてこんなにやさしい娘、現実にはおらん」と思ってしまう。まあ、ホントにいたら間違いなく惚れてしまうけどね。

もうひとりのいい女は佐田真由美。さすが元モデルなだけあって、一流のオーラを出しまくっていた。あんな女性に迫られたら普通は逃げないし、こっちから迫っていきます。琢郎、いい人すぎ。

その他、本条まなみや佐々木希と美女ぞろいの本作。でも意外や意外、もっとも好感度を上げたのは鈴木おさむの奥さん、大島美幸だ。

男のブサイクが塚地なら、女は大島だ!と言わんばかりのキャスティング。見た目は確かにもっさいし、立ち振舞いは完全におばちゃんだ。彼女に一目ぼれする男性はまずいないと言い切れる。失礼なのではなく、そういうキャラなのだ。

しかし話が進むにつれて、大島演じる本江さんが魅力的に見えてくるのよ。働き者で気は利くし、人の気持ちがわかる優しさにあふれている。いつも笑顔で周りを明るくする、まるで太陽のような人柄。まさか大島を見てそんな風に思うなんて、自分でも驚いた。

本作の肝は主役の二人ではない。間違いなく本江だ。彼女をうまく描けるかどうかが成功の分かれ道だった。大島というベストキャスティングが頭にあったからこそ、鈴木は脚本が書けたんだろう。この映画は、鈴木おさむと大島美幸の「ブサイク夫婦」がうまくいっている理由を知ることができる。「ガキの使い」とかで尻出してるイメージが強かったけど、そっか、大島ってなかなかいい奥さんなんだ。

時間は有限だから、いろんな理由でスルーしている映画がたくさんある。でも、映画は観なきゃわからない。当たり前のことを、今回あらためて気づかされました。これからも時間の許す限り、たくさん映画を観ていこうと思った。

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子供の頃から映画が大好き!いっぱい観てきたつもりですが、まだまだ勉強不足です。毎日映画だけ観て暮らすのが夢。


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